2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫抑制状態の解除によるがんペプチドワクチン療法の治療効果促進に関する研究
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17K17275
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福間 大喜 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40467981)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がんペプチドワクチン / 腫瘍免疫 / 細胞障害性T細胞 / 制御性T細胞 / 免疫モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
熊本大学病院歯科口腔外科において口腔癌の一次治療が終了した患者へ術後アジュバント療法として癌ペプチドワクチンを投与し、再発予防に寄与できるかどうかの検討を行っている。対象となる患者は当科を受診し、根治治療(一次治療)を行った患者で、術後再発 のリスクが高いと判断された患者(術後病理検査所見で断端陽性や近接症例、脈管・神経浸潤を認める症例、頸 部リンパ節転移が複数認められた症例、転移リンパ節が皮膜外浸潤をきたしている症例などである。治療のスケジュールは毎週1回、当科外来にて腋窩の皮下にURLC10、CDCA1およびIMP3のGMPグレードレートのペプチドを各1m gとIMFを混合したワクチンを投与する。毎回の投与前には採血を行い、全身的に問題がないかどうかをチェックする。4回の投与を1クールとし、2ク ールの投与(8週連続で8回の投与)を行う。各クールごとに通常の採血に加えて、追加で血液検体を採取し、投与したペプチドワクチンによって誘導されたと考えられる、腫瘍抗原特異的なCTL、制御性T細胞等の解析(FACS を用いた解析)等を行うことで、ワクチンを投与された患者の中での免疫動態を把握し、臨床的な効果との相関 について検討する。現在エントリ-された患者の血液サンプルを解析するべく、解析項目、方法の検討を行っている。また、並行して更なる症例の追加を目的に対象患者の選定を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の追加を行っているものの、新たに標準療法とされる化学療法薬の選択にニボルマブがあり、現時点ではニボルマブの投与の際には他の免疫療法との併用は禁忌とされているため、がんペプチドワクチン療法を当該患者に対して行うことがやや困難となってきており、症例数が伸び悩んでいることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
がんペプチドワクチン投与患者の症例数を増やしつつ、投与後のフォローアップでTumor free Survivalの期間を検討する。また、免疫の一つの特性である免疫記憶の観点から、ワクチンによって誘導された腫瘍抗原特異的なCTLが、2ク ールのワクチン投与後に患者の体内でどのような動態を示すのか、例えば、腫瘍抗原特異的なCTLの絶対数の推移や、メモリー細胞となる分画がどれくらい存在するのか、またその絶対数の推移などの解析が出来ればと考えている。また、不幸にも癌が再発した患者からも採血の検体を頂いて解析することによって、再発群と非再発群とで比較検討が出来ればと考えている。研究計画の最終年度を向かえるに当たり、現時点で何らかの結論が得られるように解析を進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
前年度において、ペプチドワクチンを投与患者から得られた検体の解析を行う計画であったが、患者の登録数・検体数が当初の想定を下回っていたため、解析に関しては一時中断としている。本年度は最終年度にもあたるため、これらの検体の解析を進めていく上で予算を執行していく。
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