2018 Fiscal Year Research-status Report
新規治療薬開発に向けてのエナメル上皮腫増悪因子の分子生物学的解析
Project/Area Number |
17K17286
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石河 太知 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10569247)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エナメル上皮腫 / Butyric acid |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル上皮腫の顎骨内の侵襲的な増大や,まれに見られる悪性化・転移には,増悪因子として細胞接着因子であるLaminin 等の発現や,サイトカインの関 与が示唆されている. しかし,実験に使用できる細胞株が少なく,腫瘍の部位により細胞に多様性のある本疾患の分子生物学的なメカニズムについては不明な点が多い. さらに,その増悪には歯周病原細菌の関与が疑われるものの,それら細菌の影響はこれまで全く検討されていない. そこで本研究では,腫瘍細胞の移動 能に深く関わる上皮性因子と間葉系因子の発現バランスを異にし,同一のエナメル上皮腫組織から樹立された新たな3種の細胞株(HAM1,HAM2,HAM3)を用い,細 胞接着因子,サイトカインに加え,細菌由来因子も含めた本疾患の増悪に関するメカニズムを分子生物学的観点から明らかにし, 新規治療薬開発の一助となることを目的とする. 本年度はこの3種の細胞株を用いてエナメル上皮腫細胞における分子生物学的反応の検討を行った. 具体的には歯周病原細菌が産生するButyric Acid やサイ トカインを用いてHAM1,HAM2,HAM3を刺激し,細胞接着因子であるLaminin332を対象としてLaminin b3 mRNA の発現や,種々のサイトカイン mRNA の発現を検討した. その結果,Butyric Acid の刺激によってEGF mRNA やTGFb1 mRNA の発現が上昇し,EGF, TGFb1 の刺激によってLaminin b3 mRNA の発現が上昇した。さらに,Laminin332に着目し,migrtion assayを行なった。その結果,Laminin332によるコーティングおいてHAM細胞のmigration に優位な差が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,昨年度に引き続き、同一のエナメル上皮腫から樹立された3種の細胞株,HAM1,HAM2,HAM3を用いて,歯周病原細菌が産生するButyric Acid による刺激時のサイトカ イン産生を検討し、さらにそこで産生が優位に上昇したサイトカインによるHAM1,HAM2,HAM3刺激時の細胞接着因子の発現について検討を行った。これにより,現在までは踏み込めていなかった,エナメル上皮腫細胞における細菌由来因子とサイトカイン,細胞接着因子の関係が明らかになりつつある.さらにmigration assay を行ったことにより,現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに明らかとなった事実に加え、タンパクレベルでの解析を行う。具体的には、これまでと同様に3種のエナメル上皮腫細胞株,HAM1,HAM2,HAM3を用いてELISA法にてLaminin のタンパク発現を検討する。これらの結果を総合し、論文にまとめ発表する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Distribution of dipeptidyl peptidase (DPP) 4, DPP5, DPP7, and DPP11 in human oral microbiota - potent biomarkers indicating presence of periodontopathic bacteria.2018
Author(s)
Ohara-Nemoto Y, Shimoyama Y, Nakasato M, Nishimata H, Ishikawa T, Sasaki M, Kimura S, Nemoto TK
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Journal Title
FEMS microbiology letters
Volume: 365(22)
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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