2020 Fiscal Year Annual Research Report
Search for human-specific molecules involved in adipocyte differentiation and adipokine action
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17K17287
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
栗林 恭子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (60579952)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪細胞分化機序 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のマウスモデルを用いた肥満研究はヒトへの臨床応用に必ずしも直結するとは限らない。本研究では、ヒトとマウスの前駆脂肪細胞を用いて、脂肪細胞分化に関わる遺伝子を検討し、ヒト特異的な脂肪細胞分化機序を解明することを目的とした。 本研究ではヒト患者皮下脂肪組織由来前駆脂肪細胞(SGBS)およびマウス皮下脂肪由来前駆脂肪細胞(3T3L1)において、 0 日目(前駆脂肪細胞で発現する遺伝子)、 1 日目(誘導初期に関わる遺伝子)、 3 日目(誘導後期に関わる遺伝子)、 7 日目(成熟脂肪細胞で発現する遺伝子)の total RNA を抽出し DNA マイクロアレイ解析を行い、0日目の細胞と比較して変動している遺伝子を網羅的に探索し、ヒトとマウスで変動が異なる遺伝子の同定を試みた。 結果、ヒトとマウスでは種々の遺伝子で異なる発現変化を示した。肥満マウスで分泌増加が見られる レジスチン は、3T3L1の成熟脂肪細胞において発現上昇が認められたが、 SGBS では全過程において発現が認められず過去の報告と一致していた。一方、 LMO3 は、SGBS の脂肪細胞分化の全過程において発現が認められヒト細胞株有意であった。また、 PPARγ は、 SGBS の分化に伴い顕著な発現量の増加を認めたが、3T3L1では低値であった。さらに、脂肪細胞分化の全過程において SGBS で高発現があり 3T3L1 において発現のない遺伝子に着目したところ、ADH1B(alcohol dehydrogenase 1B )遺伝子の発現を確認した。このようにヒト・マウス間での脂肪細胞分化に伴う遺伝子発現の差異が、今後の肥満研究にとって有用な情報となると考えられる。
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