2017 Fiscal Year Research-status Report
4D-CTによる口唇口蓋裂患者の鼻咽腔閉鎖機能評価法の開発
Project/Area Number |
17K17299
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小林 義和 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (00622797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 鼻咽腔閉鎖機能 / バーチャル内視鏡 / 放射線 / 4D-CT |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋裂に伴う鼻咽腔閉鎖機能不全を評価する際、障害の原因となっている解剖学的異常の位置や程度を正確に診査するため、鼻咽腔内視鏡検査が広く用いられている。しかし、同検査法は強い違和感のために、特に小児口蓋裂患児が対象の場合、しばしば検査拒否に遭遇する。320列面検出器CT(320-ADCT)は、同一部位を連続的に撮影することで三次元データに時相を持たせ、四次元画像(動画)、すなわち4D-CTの表示が可能な機器である。本機による鼻咽腔閉鎖機能の評価に関する報告はきわめて少ない。 今年度は研究初年度として、健常ボランティアおよび口唇口蓋裂術後の成人患者を対象とし、320-ADCTによる短時間撮影画像を用いた鼻咽腔閉鎖機能の新規検査法の妥当性について、予備的検討を行なった。 対象は聴覚判定で開鼻声を認めなかった健常ボランティアおよび口唇口蓋裂術後の成人患者各5名の計10名とした。各対象者に吸気→ブローイングを課題として実施させ、その際の鼻咽腔の運動状態を320-ADCT撮影および鼻咽腔内視鏡検査によりそれぞれ記録した。320-ADCTでは鼻咽腔領域を3.3秒間連続撮影し、撮影画像を画像処理ワークステーションZio-station2に転送し、バーチャル内視鏡画像および多断面再構成像を構築した。構築した画像から、鼻咽腔閉鎖機能不全の有無および鼻咽腔閉鎖様式を評価した。 当初の予定では各10名の計20名を被検者とする予定をしていたが、良好な結果が得られたため、治療を目的としない侵襲的検査を用いた予備的検討という特性から、中途でデータ採取を中断した。結果については解析が終了し、次年度中の学会発表および論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた線量評価については、同一領域の被曝線量を評価した先行研究を引用した理論値で代用した。初年度に予定していた健常成人ボランティアおよび成人患者を対象とした予備的検討を行うことができた。当初の予定では20名を被検者とする予定としていたが、良好な結果が得られたため、治療を目的としない侵襲的検査を用いた予備的検討という特性から、中途でデータ採取を中断した。 次年度より小児患者を対象としたデータ採取を開始する予定であるが、本年度のデータ採取の中で、撮影プロトコルの見直し(撮影時間の短縮および撮影範囲の縮小)が必要と判断しており、線量評価のために追加の予備実験が必要と考えている。そのため、当初計画より若干の遅れが生じるものと予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
小児患者を対象としたデータ採取に関する倫理申請は完了している。次年度初頭に線量評価のための予備実験を行い、安全性に問題がないことを確認した上で小児患者のデータ採取を開始する予定である。また、本年度に実施した研究の成果について、国内外の関連学会で積極的に発表する予定である。
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Causes of Carryover |
健常ボランティアおよび成人患者のデータ採取が完了したのが年度終盤であったため、研究成果を報告するための学会参加や論文投稿が予定に満たなかったためと考えられた。次年度に繰り越し、積極的な発表を行うことで、予定の請求に見合った支出が予測される。
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