2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用可能な安全で機能的なヒトiPS細胞由来歯性間葉細胞の誘導技術の開発
Project/Area Number |
17K17304
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関 大輔 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90758442)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / 歯 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の再生を実現するためには、良質で安全な細胞を十分量準備するための技術開発が必要である。これまで、サイトカインの添加や共培養系により、iPS 細胞は歯性細胞へ分化することが報告され、iPS 細胞が再生歯作製のための細胞シーズと成り得ることが示された。しかし将来の臨床応用を考えた場合、これらの方法には、他種細胞の混入、分化誘導効率、癌化、および分化した細胞のheterog eneity等の解決すべき問題が残されている。幹細胞から分化誘導を行う方法の一つである遺伝子導入法は、iPS細胞の分化誘導方法として、最も有効な手段の一つである。本研究課題では、安全性の高いヒトの歯の再生に用いる細胞シーズの獲得を目的として、将来的にヒトへの臨床応用が可能な基盤技術の開発を目的とした。 本年度ではヒトiPS細胞のフィーダーフリー培養法を確立したうえで、さらに歯性間葉細胞の樹立をめざし、ヒトiPS細胞から歯性間葉細胞の前駆細胞である神経堤様細胞を樹立した。樹立されたヒトiPS細胞由来神経堤様細胞は、天然の神経堤細胞と類似した紡錘形の細胞形態を呈していた。また、ヒトiPS細胞由来神経堤様細胞からトータルRNAおよびタンパク質を精製し、それぞれリアルタイムPCRおよびWestern blotにより、神経堤細胞マーカーであるPax3およびp75の発現亢進と、幹細胞マーカーNanogおよびOct3/4の発現減弱を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞から歯性間葉細胞前駆細胞である神経堤細胞の樹立が達成され、歯性間葉細胞への誘導もほぼ計画通り進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞由来歯性間葉細胞樹立のために必要となる歯の発生に関わる因子の同定を進め、因子を発現させるためのウイルスベクターを作製する。ヒトiPS細胞由来神経堤細胞にウイルスベクターを導入し、免疫蛍光やFACSを用いて導入効率を評価し、効率的なヒトiPS細胞由来間葉細胞の樹立を図り、細胞のcharacterizationおよび安全性の検証を行う。
|
Causes of Carryover |
当初想定していた実験方法ではヒトiPS細胞から神経堤細胞の樹立が効率的に達成されず、実験条件の検討を行う必要が生じた。
|