2017 Fiscal Year Research-status Report
Scleraxisによる歯根膜間葉系幹細胞の分化制御の解明と歯周組織再生への応用
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17K17305
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川津 正慶 東北大学, 大学病院, 医員 (70712925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Scleraxis / 歯根膜細胞 / メカノトランスダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、申請者のグループは腱・靭帯の分化誘導転写因子Scleraxis (Scx)が歯根膜における恒常性の維持に重要な因子であると報告した。実験的歯の移動手法の一つであるWaldo法を行い、メカニカルストレスが負荷された歯根膜におけるScxの発現を解析した。その結果、メカニカルストレス負荷後48時間の牽引側歯根膜において、Scxの発現が上昇することを明らかにした。またin vitroにおいて、ラット歯根膜細胞培養へのリコンビナントBMP6添加による骨芽細胞分化誘導系においてScxを過剰発現させたところ、骨芽細胞マーカーであるオステオカルシンが顕著に抑制され、一方、Scxをノックダウンすると、オステオカルシンの発現が上昇し、Scxが歯根膜の恒常性維持に役割を果たすことが示唆された。しかしながら、歯根膜細胞へのメカニカルストレスが負荷された環境下におけるScxの骨芽細胞分化の制御機構、およびScxの特異的な下流因子の同定の解明には至っていない。本研究では、単離したヒト歯根膜細胞への牽引力負荷実験を行い、骨芽細胞分化に対するScxの作用を解析した。その結果、牽引力負荷3時間後の歯根膜細胞において、牽引力により上昇したアルカリフォスフォターゼ(ALP)の発現は、Scxのノックダウンにより、さらなる有意な上昇を示した。以上のことから、Scxは歯根膜細胞の骨芽細胞分化抑制因子として、機械的刺激が促す骨代謝過程で歯根膜の恒常性を維持する重要な役割を担うと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯根膜細胞をストレッチチャンバーに播種した際の、培養条件や伸展条件の検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
歯根膜は多能性を有する細胞や、異なる機能を持つヘテロな細胞集団から構成される。歯根膜の恒常性を制御すると考えられる間葉系幹細胞に特異的なScxの機能の解明には至っていないので、歯根膜間葉系幹細胞をセルソーティングにより単離して、同様の牽引力負荷実験、ノックダウンを行い、ScxとEFNA2の発現解析を進める。
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