2018 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of RPL5 using induced pluripotent stem cells from the patient with Diamond-Blackfan Anemia
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17K17323
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早野 暁 岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイアモンド・ブラックファン貧血 / RPL5 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究実績として、ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)の原因遺伝子である、RPL5ハプロ不全の患者および、その健常血縁者の血球細胞から樹立したiPS細胞から分化させた骨芽細胞・軟骨細胞を解析することに成功した。具体的にはiPS細胞から分化させた骨細胞・軟骨細胞におけるp53細胞死経路の活性を比較するためリアルタイムPCR法によるp53細胞死経路の下流で発現する特異的mRNA発現量の比較を行った。結果、RPL5ハプロ不全の軟骨細胞において優位にp53細胞死経路が活性化していた。しかし、興味深いことにp53 mRNA自体の発現量はRPL5ハプロ不全の細胞と対照群とで差がなかった。このことから、p53細胞死経路の活性はp53タンパクの翻訳後修飾が関与している可能性が示唆された。このことから我々は、p53タンパクの代謝において最も重要とされるMDM2に着目した。DBAの臨床症状の一つである大球性正色素性貧血における過去の報告では、リボソームを構成するタンパクがMDM2に結合することにより、その機能を阻害した結果、p53細胞死経路が活性することが示唆されている。このことから、我々はRPL5ハプロ不全の軟骨細胞培養液にMDM2亢進剤を添加した結果、RPL5ハプロ不全の軟骨細胞における細胞死が減少し、平成29年度の研究実績として報告した、軟骨基質の形成不全も優位に改善した。反対に対照群の軟骨細胞培養液にMDM2阻害剤を添加した結果、対照群軟骨細胞の細胞死が増加し、RPL5ハプロ不全の軟骨細胞と同様に軟骨基質の形成不全が生じた。 このことから、DBA患者において、リボソームタンパクによるMDM2の阻害が顎顔面の形態異常の原因となっている可能性が示唆された。 現在、免疫沈降Western blotting法を用いて、リボソームタンパクとMDM2との結合を両群で比較している。
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