2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of treatment for autism spectrum disorder with exfoliated deciduous tooth-derived pulp stem cells
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17K17334
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高山 扶美子 九州大学, 大学病院, 助教 (20795950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SHED / 自閉スペクトラム症 / ミトコンドリア / ドパミン神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト脱落乳歯由来肝細胞(SHED)は、乳歯歯髄から単離した多分化能をもつ間葉系幹細胞である。本研究は、SHEDを活用して自閉症の病態解明を行うことを目的としている。 健常児と自閉症児各5名の乳歯を保護者の同意のもとに採取した。歯髄からSHEDを調整後、ドパミン神経細胞へ分化させ、神経細胞の形態解析を行った。 自閉症児SHEDから分化させたドパミン神経細胞は、健常児SHEDと比較して神経細胞突起の長さが有意に短く、その分岐数についても有意な減少がみられた。また、自閉症群において、健常児群と比較し、神経細胞のミトコンドリア活性と神経細胞突起に局在するミトコンドリア数に有意な減少を認め、神経細胞内ATPとカルシウム濃度においても有意な低下がみられた。 次に、神経突起伸張に関与する脳由来神経栄養因子であるbrain derived neurotrophic factor(BDNF)が自閉症児SHEDから分化させたドパミン神経細胞の突起伸張に直接的に関与しているか否かを確認するために、SHEDから分化させたドパミン神経細胞と、BDNFとの共培養を行った。健常児のドパミン神経細胞においては単独培養と比較し、BDNF共培養群では神経突起の長さや分岐数に有意な増加を認めたが、自閉症児のドパミン神経細胞においては、単独培養と比較し有意な差はみられなかった。 以上のことから、神経突起伸張に関与するBDNFが、その下流のシグナルであるミトコンドリア機能に低下をもたらし、その結果、ドパミン神経細胞の突起伸張が抑制されることが明らかとなった。
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