2019 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼筋適応機構におけるmicroRNA調節とエピジェネティクス制御の役割
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17K17342
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
梅木 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10514937)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 咀嚼筋 / マイクロRNA / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成23年歯科疾患実態調査により、不正咬合を有する患児の割合は増加しているとの報告がある。しかし不正咬合の成立要因は、原因遺伝子が明らかないくつかの先天疾患以外未だ不明である。近年、分子生物学的解析手法を用いた研究によって、咬合関係の違いにより咀嚼筋の遺伝子発現が異なることなどが報告され、顎態の変化と咀嚼筋の相互関係が注目されている。骨格筋は可塑性を有し、その表現型(筋線維サイズ、筋線維タイプ)や生理機能は様々な環境の変化に適応することが知られている。咀嚼筋も四肢の骨格筋と同様に可塑性を有し、その表現型や生理機能は様々な咬合の状態に適応することが報告されている。近年、骨格筋の可塑性にmiRNAが関与することが報告され注目を集めている。我々はこれまで、機械的刺激の増大が咬筋の肥大と筋活動の亢進を誘発することを報告してきた。今回、機械的刺激の増大による咬筋筋肥大におけるmiRNAの役割についてマウス咬筋を用いて解析した。その結果、械的刺激の増大による咬筋の筋線維断面積(CSA)と筋重量の増加に伴うmiR-182、miR-206の発現レベルの上昇を認めた。その後 Western blottingの結果より、械的刺激の増大による咬筋の筋肥大は筋萎縮因子であるHDAC4、Foxo3aの発現レベルの有意な減少が認められた。以上の結果より、機械的刺激の増大によるmiR-182およびmiR-206の発現レベルの上昇がHDAC4、Foxo3aの発現レベルを減少させることによってマウス咬筋筋重量の増加と筋線維の肥大を誘発することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定を若干変更し、先にシグナル伝達経路を解析することになったため、準備の関係で少し予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格筋に対する機械的な慢性刺激がオートファジーの調節因子として知られるp62タンパクのリン酸化を誘導し、Keap1/Nrf2の経路を調節することで抗酸化物質の産生を促進するとの報告があり、咀嚼筋でもこの現象を確認し、可塑性に関与するかどうかの検証を行う予定。
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Causes of Carryover |
研究代表者は教室内において歯学部学生の教務担当を兼ねており本年度は教育に関する業務が多忙を極めた。その結果、当初の予定よりも遅れ、次年度使用額が生じてしまった。次年度は状況が改善されつつあるので、当初予定していた試薬の購入に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)