2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノアパタイトと低出力超音波パルスを基軸とした新規歯周組織再生療法の基盤構築
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17K17345
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 医員 (10760457)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周再生医学 / ハイドロキシアパタイト / LIPUS |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイドロキシアパタイトは生体適合性と骨伝導性に優れており、そのサイズをナノレベルまで縮小したナノサイズハイドロキシアパタイト(nano-HA)は骨置換性をも有した骨補填材として有用な材料である。また低出力超音波パルス(LIPUS)の照射は骨関連細胞に対してメカニカルストレスとして作用し、骨芽細胞の分化を促し、骨形成を促進することが報告されている。本研究の目的はヒト歯根膜細胞のnano-HAとLIPUSの併用による細胞分化促進効果を明らかにし、次世代型歯周組織再生誘導技術の開発のための研究基盤を確立することである。 今年度はまずヒト歯根膜細胞とマウス歯小嚢細胞株にnano-HA刺激を加えて比較したところ、後者により顕著な分化マーカーの発現誘導を認めたので、マウス歯小嚢細胞の解析に重点をおいて研究を進めた。マウス歯小嚢細胞株に粒径200nm未満のnano-HAを加え6時間培養したところ、中期の骨分化マーカーであるオステオポンティンの遺伝子発現の誘導を認めた。さらにマウスの未分化間葉系細胞株および前骨芽細胞株に対しても同様の発現誘導が認められた。またLIPUSは周波数1.5MHz、繰り返し周波数1.0kHz、超音波強度30mW/cm^2、パルス幅200μsecの条件で1日20分間照射し分化誘導能を検証した。マウス歯小嚢細胞株において上記条件でLIPUS照射を行ったところ、照射のみの刺激では有意な分化マーカーの誘導は確認できなかったが、セメント芽細胞への分化を誘導するWnt3aとの併用刺激で3日間培養したところ、LIPUS照射がWnt3a誘導性アルカリフォスファターゼ活性を増強することが示唆された。 次年度は上記の知見をもとにnano-HAとLIPUSによるそれぞれの硬組織誘導能のシグナル経路を解析し、それを基盤として両者の併用による硬組織誘導能の促進効果を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画であるnano-HAとLIPUS刺激による硬組織誘導能の検討をマウスの間葉系細胞を用いて検討を行った。これによりnano-HAが骨分化マーカーを誘導し、LIPUS刺激が古典的Wnt経路の活性を増強して硬組織形成能を誘導することが示唆された。これらの知見をもとに両刺激を併用した際の硬組織誘導能の解析を次年度の継続課題とすることができるので、現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果、すなわちnano-HAとLIPUS刺激による間葉系細胞の硬組織誘導に対してその分子メカニズムを解析し、両刺激を併用した際の硬組織誘導の相乗効果を検討することが今後の研究の目標となる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 今後平成29年度請求額と合わせ、平成30年度の研究遂行に使用する予定である。
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