2017 Fiscal Year Research-status Report
立体培養間葉系幹細胞集塊の細胞分化を制御するメカノトランスダクション機構の解析
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17K17351
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加治屋 幹人 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (00633041)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞集塊 / C-MSCs / 3D / メカノトランスダクション / YAP/TAZ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究室では、間葉系幹細胞(MSCs)と細胞自身が産生する細胞外基質(ECM)を用いて間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complexesを樹立していた。C-MSCsは三次元的な構造を有し、浮遊状態で培養されるため、従来から行われている2次元培養とは明らかに異なる微小環境を有している。そこで本研究では、C-MSCs内のメカノトランスダクション機構と細胞分化の関連を詳細に解析することで、その細胞生物学的性質を理解することを目的とする。 研究初年度には、浮遊状態にすることが転写共役因子YAP/TAZの活性低下を促し、その結果、脂肪・軟骨誘導に向かいやすいことを示した。さらに、石灰化誘導培地でC-MSCsを培養すると、ECM産生が増加し、これが十分な足場を提供することでYAP/TAZ活性を回復させることを見出した。さらに、この活性化したYAP/TAZはポジティブフィードバック機構を有しており、さらにECMの産生・YAP/TAZの活性化を向上させながら骨分化方向に細胞運命を決定していることがわかった。現在、STEM CELLSに研究成果を論文投稿中である。 さらに、C-MSCsのECMが細胞に保護的な作用を有することに着想し、C-MSCsは凍結保存を経てもそのECMによる保護作用の結果、細胞機能を損なわないことを明らかとした。この成果をStem Cell Research & Therapyに論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
C-MSCs内では研究計画申請当時に予想したメカノトランスダクションが存在しており、極めて順調に研究が進展し、論文投稿にまで至っているため。本年度中にはSTEM CELLSでの論文出版が可能と期待される。 さらに、そのメカノトランスダクション解析のデータから、C-MSCsにおけるECMの生物学的役割に気づき、それを凍結保存に応用することで申請時には予期しなかった成果が上がり、論文発表に至っている。このことは計画以上の進捗状況であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、すでにC-MSCsにおけるメカノトランスダクションについて詳細に解析し、論文投稿に至っている。今後は、その明らかとした骨分化に関与するメカノトランスダクション経路を活性化させる方法を見出し、より骨再生能の高いC-MSCsを開発していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究初年度は、申請計画以上に実験が順調に進展したため、僅かな誤差ではあるが当初より少ない研究資金での研究遂行となった。 残額分を次年度に組み込み、初年度の成果をさらに発展させる。
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Research Products
(4 results)