2018 Fiscal Year Research-status Report
P. gingivalisバイオフィルム剥離に関わる新規プロテアーゼの解明
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17K17355
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原口 晃 九州大学, 大学病院, 助教 (00734998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | P. gingivalis / biofilm |
Outline of Annual Research Achievements |
心内膜炎、動脈硬化、冠状動脈疾患等において歯周病細菌によるバイオフィルムが病変部位より検出されることが知られている。歯周病患者の 8 割以上に生息している主要な歯周病細菌である Porphyromonas gingivalis (Pg) の分泌タンパクには、強い病原性を持つ Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa)の形 成したバイオフィルムを剥離する働きがあることを見出した。一方でStreptococcus gordonii によって Pg のバイオフィルム形成阻害されることが報告されている。本研究では、心疾患において検出される Pg バイオフィルムが他の主要な歯周病細菌によって、どのように口腔内バイオフィルムから剥離され血流に乗っているのかを解明していくことを目的とする。 各種細菌の培養上清中のプロテアーゼについて Pg バイオフィルム剥離効果、凝集阻害効果を測定し、剥離効果のあった培養上清中のプロテアーゼを同定する。 Pg の付着、凝集阻害因子に対してプロテオーム解析を行い、目的タンパクを同定する。歯周病細菌のある病原性を担うタンパクについて同定することから始まるので、タンパクの分画や抽出を迅速に行う必要があると考えている。また、菌の持つタンパクは、これまでの研究から単量体ではなく複合体を形成して高分子タンパクを形成している可能性があると考えられるた め、SDS-PAGE と合わせて 2D-PAGE にて分画を行うことにより複雑なバイオフィルム構造の解明に繋がり、慢性歯周炎の進行を阻止し、全身疾患に波及する歯性病巣感染の機序解明と効果的な予防法へと貢献するものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は96well マイクロタイタープレート内に各線毛型の Pg バイオフィルムを作成し、Td、Tf、Pi の培養上清で処理し、バイオフィルム剥離試験を行った。予想通り 線毛型によってバイオフィルム形成量、凝集量に差があったが、予想以上に差があり剥離効果、凝集阻害効果の検証をすることに時間がかかっていた。そこで今年度それぞれの培養上清の濃縮等も検討に入れて実験系を再構築した。限外濾過のより濃縮、分画を行った所、複数の分画において剥離効果が認められた。これにより剥離因子の蛋白が複数あることが示唆され蛋白が複合体または単量体を形成している可能性を考慮に入れて実験を進めていく必要があったため予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
剥離試験、凝集阻害試験を継続して行い、剥離因子、凝集阻害因子の解明に努める。また、特定のプロテアーゼインヒビターを用いてそれぞれの濃縮分画における剥離試験を行い影響のあるプロテアーゼの種類を特定する。Pg バイオフィルム表面形態の変化をSEMにて評価する。各株の培養上清を、イオン交換クロマトグラフィーにかけ、フラクション毎に Pg 剥離試験を行う。目的タンパクを各フラクションごとに回収し、2D-PAGE にて分離同定。アミノ酸配列解析後、遺伝子変異株により剥離、凝集阻害実験を行い、目的タンパクの解明を継続する。
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Causes of Carryover |
実験進捗状況が予定よりやや遅れているため使用予定額を下回った。今後は剥離試験、凝集阻害試験を同時並行で行い、剥離因子、凝集阻害因子の解明に努めるため、次年度に使用予定である。
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