2017 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の粘液線毛輸送機能に関する研究~誤嚥症例に適切なとろみは?~
Project/Area Number |
17K17370
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深津 ひかり 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00635386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粘液線毛輸送機能 / サッカリンテスト / 増粘剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
誤嚥物は、咳だけでなく粘液線毛輸送機能により気管内から排除される。したがって、粘膜線毛輸送機能を評価することは誤嚥性肺炎のリスク予測や予防を行う点で重要である。粘膜線毛輸送機能の検査法であるサッカリンテストは、簡便かつ非侵襲な方法として有用である。しかしながら、この方法は認知症症例をはじめとする意思疎通が困難な要介護高齢者には施行できないという問題点がある。そこで本研究では、意思疎通が困難な症例の粘膜線毛輸送機能を評価する方法(色素テスト)を確立することを目的とした。 健常成人15名を対象に、サッカリンテストおよび色素テストを実施した。2つのテストの結果に有意な正の相関を認めたことから、色素テストはサッカリンテストと同様に粘液線毛輸送機能の評価が可能であることが明らかとなった。 増粘剤は、誤嚥を減らす目的で嚥下臨床の場で広く用いられている。しかしながら、ウサギを用いた実験で、とろみ水を誤嚥させた群は、とろみなし水を誤嚥させた群よりも誤嚥性肺炎での致死率が高くなることが報告されている。以上のことから我々は、増粘剤の使用は誤嚥を減らすものの、誤嚥した場合には排出のしやすさに影響を及ぼすのではないかと考えた。そこで本研究では、誤嚥物を排出する機能の一つである粘液線毛輸送機能に着目し、増粘剤が粘液線毛輸送機能に及ぼす影響を検討することとした。 健常成人25名を対象に、とろみなしサッカリン色素水と増粘剤を用いてとろみを付与した2種類(薄いとろみ、濃いとろみ)のサッカリン色素水を用いてサッカリンテストを行なった。その結果、とろみなし水と比較してとろみ水の方が有意にサッカリン時間が延長した。加えて、薄いとろみ水よりも濃いとろみ水の方がサッカリン時間が有意に延長した。以上のことから、増粘剤の誤嚥予防の効果はあるものの、誤嚥をした場合には、気管内からの排出が困難になる可能性が示唆された。
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