2020 Fiscal Year Annual Research Report
Chewing duration of older adults diagnosed with oral hypofunction
Project/Area Number |
17K17382
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
太田 緑 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70755008)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 高齢者 / 咀嚼時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は若年者や中年期と比較して口腔機能が低下することが明らかとなっており、咀嚼機能や食塊形成能の低下、唾液分泌量の減少などにより食品を飲み込むまでに要する時間(咀嚼時間)がそれまでと比較して延長するようになる。65歳以上の高齢者における咀嚼時間の延長の原因がどの口腔機能の低下によるものなのかを検証することを目的に本研究を計画した。 予備実験より、口腔機能を咀嚼時間に関連する因子として、①咀嚼機能(グルコース溶出量)、②口腔乾燥(口腔粘膜湿潤度)、③口腔衛生状態(舌背上の微生物数の計測)、④最大舌圧、⑤最大咬合力、⑥舌・口唇運動機能の6つを抽出した。その後、高齢者50名を対象に、上記口腔機能、咀嚼時間を計測し、分析を行った。 口腔機能低下群と非低下群の2群間の比較を行ったところ、口腔機能低下群は非低下群と比べて咀嚼時間が有意に延長していることが確認された。続いて、咀嚼時間を従属変数、口腔機能の各因子(咀嚼機能、口腔乾燥、口腔衛生状態、舌圧、咬合力、舌・口唇運動機能)を独立変数として、線形重回帰分析を行ったところ、咀嚼時間に対し、舌・口唇運動機能が影響を及ぼすことが明らかとなった。 一般的に咀嚼能力の低下は咀嚼時間の延長に直結すると考えられるが、本研究では咀嚼機能は因子として抽出されず、舌・口唇運動機能が抽出された。舌および口唇は、食塊形成や送り込みに関連していることから、これらの機能も高齢者の口腔機能管理では重要であることが明らかとなった。これまで舌・口唇運動機能はあまり注目されてこなかったが、機能障害レベルになる前に高齢者の口腔機能検査を実施し維持・管理を行っていくことが、高齢者の健康な食生活の継続につながることが示唆された。
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