2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルム形成慢性創傷の治癒促進へ向けたリンパ球制御ケア技術の確立
Project/Area Number |
17K17393
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 白血球 / 緑膿菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡や糖尿病性下腿潰瘍などの慢性創傷の原因の1つに,創部の細菌感染が挙げられる。慢性創傷の60~70%に細菌感染が関与していることが明らかになっているが,中でも緑膿菌は慢性創傷からよく分離される菌である。細菌感染防御には白血球が重要な役割を担い、さらに創傷治癒過程においても白血球は必須の要素である。白血球には好中球,マクロファージ,リンパ球などが存在するが、本研究では、肺での緑膿菌排除や皮膚創傷治癒を促進することが報告されているリンパ球の一つであるナチュラルキラーT (NKT)細胞が創部緑膿菌感染防御および、その創傷治癒過程に与える影響について解析を行った。 野生型マウスおよび、NKT細胞欠損マウスの背部に全層欠損創を2つ作成し、緑膿菌PAO1株 1.0×10^4 個を創部に接種した。経日的に創を摘出し、両群間での創部緑膿菌数、治癒の指標として再上皮化率、サイトカイン産生を比較検討した。 野生型マウスに比べ、NKT細胞欠損マウスでは、創部緑膿菌数が創作成7日目に有意に増加した。一方、再上皮化率は創作成7日目に野生型マウスに比べ、NKT細胞欠損マウスで有意に低下した。創部からRNAを抽出し、リアルタイムPCR法でサイトカインmRNA発現を解析したが、TNF-α、IL-1β、IL-6、IFN-γ産生には両群間で差は認められなかった。 以上の結果より、NKT細胞が創部緑膿菌排除および、再上皮化促進に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創部緑膿菌感染モデルマウスの確立、また創部緑膿菌感染防御におけるNKT細胞の関与について、本年度は明らかにすることが出来た。 今後、緑膿菌排除・治癒促進の機序を明らかにする必要があるが、順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
NKT細胞による緑膿菌排除・治癒促進の機序解明を予定している。 具体的には、創部白血球分画や、平成29年度に測定しなかったサイトカイン・ケモカイン産生について検討する。 さらに、NKT細胞を活性化した状況下での、緑膿菌排除や創傷治癒過程に与える影響についても解析する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の実験を効率よく実施することが出来たが、12,652円の未使用額が生じた。 平成30年度に未使用額も含め、研究費として使用する予定である。
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