2018 Fiscal Year Research-status Report
看護師の経済的・社会的・組織的価値認識―3次元共通価値拡大モデルの構築
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17K17394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國江 慶子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (80748898)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護実践の価値 / 病院での看護実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病院の看護部門の各部門における看護実践の重なる価値、すなわち同時実現する多様な価値の拡大モデルを構築することを目的としている。昨年度調査から、近年の変化が多く複雑な医療環境の中で、行なっている看護実践に部署として価値づけて広く共有することは容易でなく、まずは個々人が行う看護実践とその認識の明確化が必要であること、また個々人の認識を知るためには質問を複数重ね引き出す必要があることが分かってきた。そのため、今年度は、個々の実践と認識自体に焦点をあて研究を進めた。社会や制度の変化の影響を受けやすく病院として機能の選択を行ってきたと予測される200~400床の病院を対象とし、4施設31名の看護師に個別インタビューを行った。 その結果、看護師は、上位者からの提示や日々の実践からの実感により認識した自身が働く病院や部署の機能を踏まえ、病院全体の中での部署の位置づけや役割、また他部署からの見え方を理解しつつ、自部署に特徴的な患者やケアを捉え、看護実践を認識していることが明らかになった。また看護実践を病院の中でのみで捉えるのではなく、患者が病院を離れ地域に戻り生活する人と認識しながら、今いる場所で行うケアを考えることも語られた。 自身や部署が行う実践が何に貢献しうるのかについては個々人としては複数の側面から断片的にもっている一方で、それらの事象を関連づけて認識するかや同時性のある事象として捉えるかは個人差が大きい可能性があることが分かった。また、部署で語られることはあっても共有する機会は少ない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査は概ね順調に実施した。実践の価値を見出すためには、具体的な業務や実践に関しその解釈を引き出す必要があったため、観察よりもインタビューを優先した。インタビューでは看護師長と看護師の両者、また看護師も可能な限り複数名を対象を行うことで観察により収集予定であった部署の特性を理解した。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度は部署で提供する看護実践への看護師の認識を理解するため、同一部署での語りや他組織での語りとその背景を比較しながら分析を進めた。比較を通して、看護師が理解する部署特有の病院や部署の特性は部署ごとに異なるが、それらがケアを価値づける認識につながることは共通する可能性があることを見出した。次年度は共通性に着目しながら、分析を進め必要な追加データを収集する予定である。
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Causes of Carryover |
インタビューデータの逐語録化を人件費で予定したが業者に委託のためその他の支出となった。そのため人件費の支出が少なく、その他は予算以上の支出となっている。 また、旅費は、昨年度は調査対象が近距離であったことや国際学会での発表がなかったことから次年度使用額が生じた。次年度は国際学会での発表を予定している。
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