2019 Fiscal Year Research-status Report
床上浸水の被災高齢者に生じる遷延化する心身の影響に関する研究
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17K17398
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
酒井 彰久 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (30794888)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水害 / 被災高齢者 / 床上浸水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、床上浸水の被害を受けた高齢者の遷延化する心身の影響を明らかにすることを目的としている。近年、台風やゲリラ豪雨による被害は毎年のように発生している状況であり、平成30年度には『平成30年7月豪雨』、令和元年度には、『令和元年房総半島台風』や『令和元年東日本台風』が発生した。台風や大雨によって生じる床上浸水は、人々の財産や生活環境を奪うだけではなく、心身にも多大なる影響を与える。特に高齢者は、被災後の生活再建において取り残されることが多く、自宅に帰ることができたとしても、無気力や倦怠感といった心身の症状が出現することがあるため、継続的な調査が重要である。 平成30年度は、『平成30年7月豪雨』の被災地に出向き、支援活動を行いながら被害状況の調査を行った。床上浸水による被害を受け、避難所生活を送る高齢者の方からは、「高血圧の既往はないが避難所に来てから血圧が170台であり不安。」という声が聞かれ、避難所生活による心身の影響が生じていることが示唆された。令和元年度は、『令和元年東日本台風』の被災地にて、発災から4か月後の支援活動に参加し、健康相談を通して被災高齢者から心身の影響について聞き取りを行った。避難所は解消され、応急仮設住宅での暮らしが始まっていたが、不眠や高血圧など症状の訴えがあった。被災地は異なるが、避難所から応急仮設住宅へと生活の場が変化しても心身の影響は生じており、長期の継続的な調査の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在まで述べ8名の方から調査を行うことができているが、令和元年度では、2月に予定していた調査を、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い調査を延期した。そのため、平成29年度から継続していた『平成27年9月関東・東北豪雨』の被災地での調査が一時中断されている状況である。同時にデータ分析が当初の予定よりも遅れている状況であり、継続申請を行い研究期間を1年間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
『平成27年9月関東・東北豪雨』から5年が経過する節目の年であり、被災地でのインタビュー調査を行う予定をしているが、新型コロナウィルスの状況次第では、電話やインターネット等のインタビュー手法を検討する。平成29年度~現在までに得られたデータの分析を進めて行く。
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Causes of Carryover |
『平成27年9月関東・東北豪雨』の被災地で予定していたインタビュー調査を、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止したため。令和2年度の使用計画として、インタビュー調査の交通費並びに分析に必要な機材の購入費用を予定している。
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