2017 Fiscal Year Research-status Report
保健医療福祉系大学における専門職連携教育(IPE)の尺度開発
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17K17407
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
吉村 基宜 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (00781288)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門職連携教育 / 評価尺度 / 保健医療福祉系大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、少子高齢化は加速する一方であり、医療・福祉の高度化や細分化が進んでいる。多種多様なニーズに対応していくためにも各専門職の専門性だけでなく、職種間の連携の重要性が増している。専門職連携教育(以下、IPE)は、英国をはじめとして、多くの国々や日本においても推進されてきている。日本ではIPEは発展途上であり、特に評価研究においてはその実証性が課題として挙げられている。IPEの評価方法は様々であり、各組織の実情に合わせて独自に行っているものが多い。既存のIPE評価尺度も因子分析の結果、因子構造のばらつきや、各因子の項目数の差が大きく、今後日本で使用するにあたり、日本の教育背景や文化も考慮しながら検討を重ねていく必要があるといった課題が挙げられている。そこで、本研究では、IPE評価尺度開発の初期段階として、尺度を作成し、その信頼性・妥当性の検討を目的とした。 既存のIPE評価尺度や先行研究より、IPEの構成要素、コンピテンシー、期待される教育効果等を抽出し、24項目からなるIPE評価尺度(原案)を作成した。調査は、埼玉県立大学の学生1年次全学科生405名を対象とし集合調査を実施した。集計結果から、IPE評価尺度(原案)の回答に欠損のない367データを分析対象とした。天井効果のある9項目を除去し、探索的因子分析を実施した結果、11項目3因子解の構造となった。それぞれの項目内容から、第1因子「協働的能力」、第2因子「提言力」、第3因子「組織形成力」と命名した。尺度全体と各因子におけるα係数は.70以上であった。また、基準関連妥当性検討のため使用した外的基準尺度とは、項目内容に概ね妥当な相関が認められた。 今後は、今回の研究をIPE評価尺度作成の基盤とし、未だ十分に因子を反映していない可能性が大きいため、これから尺度の精度をあげるために、繰り返し、調査、検討を重ねていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はIPE評価尺度作成および、信頼性・妥当性の検討である。研究の初期段階として、独自の評価尺度原案を作成し、分析の結果、一定の信頼性・妥当性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、調査時期や調査票の構成の問題から、得点分布に偏りがみられる結果となった。その結果、多くの項目にて天井効果が認められ、分析対象から除外せざるをえなく、構成概念の妥当性が十分であるとはいえなかった。再度、質問項目のワーディングや回答形式等を検討して回答傾向の偏りが生じない質問紙の構成が課題となる。 また、今回はIPWの経験がない、IPE導入科目を受講した1年次生を対象とした。今後は、IPEの集団としての教育効果が年次毎に変化するか、各学年での横断的調査、学年進行を追う縦断的調査を実施していくことが課題になると考える。以上のように調査時期や対象者を変えながら、尺度の精錬を重ねていく。
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Causes of Carryover |
・他大学への視察調査として、IPEの現状や専門職連携コンピテンシーについて情報収集を行う予定で旅費を計上していたが、実施しなかったため。 ・ノートパソコンを購入せず、研究機関設置のパソコンを使用したため。
平成30年度は、研究発表のために資料の整理と論文の修正を行い、更なる尺度精錬のため、研究で明らかとなった課題をもとに検討を行っていく。
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