2017 Fiscal Year Research-status Report
看護師・患者の身体負担軽減を目指したトイレ介助方法の開発
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17K17408
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
小林 由実 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (20719421)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トイレ介助 / 移乗 / 排泄ケア / 腰部負担 / 移乗用具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護師が行う患者のトイレ介助に関して、車椅子から便座への移乗や患者の衣服の着脱等を含めた一連の動作において、看護師および患者の身体負担が少ない新しいトイレ介助の方法を検討することである。そして、本研究では、従来の人力のみでの介助方法に代わり、新しいトイレ介助方法として、スタンディングマシーンを用いたトイレ介助について注目している。 H29年度は、スタンディングマシーンを用いた新しいトイレ介助方法の手順の作成のため、国内で先進的にスタンディングマシーンを取り入れている施設を訪問し、実際の対象者が介助を受けている場面を見学して、スタンディングマシーンによる介助を受けられる患者の身体状況や、実際の使用方法を把握した。加えて、海外文献でのスタンディングマシーンを使用した移乗方法等を参考に、本研究の実験下で検証するスタンディングマシーンでのトイレ介助の手順を作成した。また、比較として従来行われてきた人力のみで行うトイレ介助について、標準的な方法を求め、看護系教科書に記載されている方法を検討し、また移乗動作に熟達した看護師らに実際に病棟で行っていた介助方法を聞き、人力で行うトイレ介助方法の手順を作成した。 これらのトイレ介助時において、看護師の負担を測定できる方法を探るため、看護師に、表面筋電図等の測定機器を装着した状態で、模擬患者を対象にトイレ介助を行ってもらい、実験環境下でのデータ収集方法の妥当性・信頼性の検討を行った。また、看護師・患者を対象としたトイレ介助時の身体負担感についてのアンケートを作成し、内容の妥当性を移乗動作等に詳しい研究者からアドバイスをもらい、検討した。 次年度では、実験を進め、スタンディングマシーンを使用したトイレ介助方法と、人力のみでのトイレ介助方法で、看護師・患者へかかる負担について検証を重ねていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単なる移乗だけではなく着衣の上げ下げも含めたトイレ介助方法について、スタンディングマシーンおよび人力のみの方法でも、詳細に記載された文献(国内・国外)は数が少なく、本研究の実験時に行うトイレ介助手順の作成に、予想以上に時間がかかった。 また、計画当初、看護師の身体負担を計測するために、3次元動作分析も使用する予定であったが、実験場所となる車椅子トイレ内では機材の設置が難しく、ゴニオメーター等代わりとなるものの使用を検討し、測定していくこととなった。表面筋電図についても、看護師・模擬患者役が複雑な動作を行うため、測定方法の検討・工夫が必要であった。 しかし、H29年度中に何度もプレテストを重ね方法を検討したことで、現在では、ほぼ安定して測定を行えるようになった。次年度では、実験を遂行していくことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
看護師に、模擬患者のトイレ介助をしてもらい、生理学的指標として、看護師の身体負担について、表面筋電図およびゴニオメーターで測定し、主観的負担感については自作のアンケートで答えてもらい、データ収集を進めていく。 患者の負担については、主に主観的負担感について、模擬患者に、看護師による介助を受けた後にアンケートに回答してもらい、データ収集を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、実験そのものよりも、実験の前段階となる手順作成に時間を使ったため、実験で消耗する物品をあまり使用しなかった。 また、実験で使用するスタンディングマシーンについては、水戸優子研究代表者の基盤研究C「新たな腰痛予防対策指針をふまえた看護基礎教育における移動技術教育プログラムの開発」で購入したものを共同で使わせていただけることになったため、購入していない。 次年度使用額は、実験が進むため、実験機器の消耗品の補充や実験参加者への謝礼金等に使用していきたい。
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