2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K17409
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
倉本 直樹 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (00781816)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 輸液管理 / 末梢静脈留置カテーテル / 血管確保 / 血管選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、静脈炎や血管外漏出など末梢静脈留置カテーテル(Peripheral Venous Catheter:以下PVC)の合併症を予防するために、看護師が関与する輸液管理の技術的課題との関連を明らかにすることある。PVC の実施に伴う合併症として血管外漏出に注目した。血管外漏出は、漏出部位の組織を壊死させるため侵襲性が非常に高い。血管外漏出の事例分析を行うため、判例データベースを用いて訴訟事例の検索を行った。期間を指定せずに検索を行ったが3件しか該当しなかった。この3件は神経損傷に関する事例であり、血管外漏出に関する訴訟事例は見られなかった。公益財団法人 日本医療機能評価機構が行っている「医療事故情報収集等事業」では、医療事故の発生場所や背景要因や改善点について報告されている。そのため、「医療事故情報収集等事業」の事例検索を用い、血管外漏出に関する事例を収集し、次の内容で分類・集計した。1)インシデント・アクシデント、2)当事者となった職種、3)当事者の経験年数、4)薬剤の種類、5)患者の年齢、6)輸液デバイスの種類。 事例の総件数は507 件であった。EVに関する事例でないもの、記述内容に欠損があるものを除外し、分析対象としたのは423 件(83.4%)であった。1)インシデントは149件(35.2%)、アクシデントは274件(64.8%)であった。2)当事者の職種は看護師363件(85.6%)、医師43件(10.2%)の順であった。3)当事者の経験年数では平均10年(SD±9.6)・中央値6年であった。4)薬剤の種類では、抗腫瘍剤が235件(55.6%)で最も多かった。5)患者の年齢は70歳代が129人で最も多かった。6)輸液デバイスの種類ではPVCが395件(93.4%)で最も多かった。また、事例の16%は血管の脆弱性に関して記述されており、看護師が関与する輸液管理の技術的課題に血管選択があると考えられた。この血管外漏出に関する医療事故報告に関しては、学会発表する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、看護師が関与する輸液管理の技術的課題を抽出する方略について再検討を行ったため、遅れている。先行研究のレビューおよび学会・研究会での意見交換を行い、血管選定に課題があることが示唆された。看護師の血管選択を支援する方法として、非接触型静脈可視化装置の活用が上がった。そのため、非接触型静脈可視化装置の準備と調査で活用できるかの評価を行う必要性が生じた。評価にあたり臨床現場の協力を計画したが、日程調整がつかず、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、非接触型静脈可視化装置が調査で活用できるかの評価と研究倫理審査申請、実際の調査を開始する予定のため、準備を進めている。静脈可視化装置は高額であるため複数台を準備することは困難であり、少ない台数で調査を行う必要性がある。静脈可視化装置の評価のための協力依頼を行っている施設に、引き続いて研究依頼を行い、研究を進めて行く。
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Causes of Carryover |
静脈可視化装置の購入および研究協力者への謝金の必要性が生じたため、前年度計上した予算を使用する。
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