2018 Fiscal Year Research-status Report
看護基礎教育における東洋(漢方)医学教育の必要性の検討
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17K17413
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
清水 夏子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (80468305)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東洋医学 / 漢方 / 看護基礎教育 / 看護系大学 / 看護学生 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臨床や医療界における東洋(漢方)医学に関する教育や治療を積極的に取り入れている現状に対し、看護基礎教育においてはほぼ実施されていないこと、さらに看護学生たちは自身の漢方治療経験や漢方に関する伝聞により感覚的なイメージを抱いており、そのイメージは誤解をしている部分が多いという先行研究結果を踏まえて実施する。看護学生を対象に追跡調査し、看護基礎教育における 東洋(漢方)医学教育の必要性を検討する。 2018年度は、2017年度(研究初年度)に本研究(計5回の質問紙調査)について協力同意した者(192名。以下、研究協力者とする)を対象に郵送法で実施した。研究協力者は、基礎看護学実習(初めて患者を受け持つ臨床実習)に臨む。先にも述べたように近年の臨床では、東洋医学(漢方治療)を積極的に取り入れる傾向にあり、受け持ち患者が漢方を処方されている可能性が高い。そこで、基礎看護学実習に臨む前と後それぞれ計2回、調査を実施し、学生の東洋(漢方)医学に関する考えの変化を見る。また、研究協力者が所属する大学によって東洋医学に関する教育を受けた者と受けていない者の2群が存在する。この2群間での違いも今年度の調査で見ていく。 調査結果(一部)、東洋医学に関する教育を受けた研究協力者の内、“実習前”に「東洋医学に興味がある」と回答したのは、76名中47名(61.8%)、“実習後”は、53名中30名(56.6%)であった。一方、教育を受けていない研究協力者の内、“実習前”に「興味がある」と回答したのは、54名中24名(44.4%)、“実習後”は、56名中23名(41.0%)であった。また東洋医学の教育を受けた研究協力者の内、“実習後”その学びが「自身の日常生活で役立った」と回答したのは、53名中27名(50.9%)、「患者の看護に役立った」と回答したのは、53名中12名(22.6%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、4年間の追跡調査(郵送法)計5回の質問紙調査の内、第2回(実習前)と第3回(実習後)を実施する計画である。調査を実施する以前に、研究協力者が所属する大学の学部長もしくは学科長に実習スケジュール(日程)の確認を取り、基礎看護学実習に臨む前と直後のタイミングで調査紙を郵送した。研究初年度(2017年度)の研究協力者は、192名で、その内、第2回、第3回はそれぞれ5割以上の回収率を目指した。 回収率を上げる(研究協力を促す)ため、以下の3点について留意し、実施した。①質問紙を各調査2回(第2回調査:実習1か月前と実習1週前/第3回調査:実習が終了した翌週と3週間後)郵送した。②調査協力の返信方法として、郵送による質問紙への回答・返信とWeb上での回答・送信の2つの方法を用意し、研究協力者がいずれかの方法を選択できるようにした。(なお、いずれも匿名による回答・返信・送信であることに配慮した)③研究協力の際の謝礼(文具)を予め現役の看護学生に“学生生活において普段活用する文具類”について調査し、それらを謝礼品とした。 以上の3点の工夫により、今年度の調査紙の回収率は、第2回(実習前)130名(67.7%)、第3回(実習後)108名(56.3%)であった。回収率の目標が維持できたと考えるため、引き続き、実施していきたい。以上より今年度は、概ね順調に推進できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
郵送法における調査を実施する上での課題は、研究協力者(回収率)の維持である。2018年度の調査実施により明らかになった課題を踏まえ以下のことに留意し、2019年度の研究を推進したい。 まずは研究協力者の所在が不明にならないように努める。本研究は、追跡調査で期間は約4年である。その間に研究協力者が転居する可能性が見込まれるため、2018年度末に転居予定の確認と転居後の住所が記述できる返信用のハガキを郵送した。その結果、転居後の住所を知らせたハガキの返信が9件あった。しかしながら、年度末時期以外にすでに転居し、宛先不明で返信されたものが3件あった。したがって、次回(第4回)調査以降は、年度末に転居後の住所が記述できる返信用のハガキを郵送することに加え、調査紙を郵送する際にも住所変更のハガキを同封することとする。さらに帰省が見込まれる長期休暇時期の調査依頼は、研究協力(回収率)の低下につながるため避けたい。 また、研究協力者に対する文具の謝礼も回収率増加の効果が大きかったように考える。今年度、研究協力者は領域別の各論実習に臨むため、実習で役立つ文具を謝礼とし、研究協力を促していきたい。
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由> 回収率、50%以上を期待していたが、執行予算としては、念のため100%の返信で計上していた。したがって、研究協力がなかった数の返信費および謝礼費分の残金が発生した。 <使用計画> 2019年度の助成金と合わせて、書籍(東洋医学関連、統計関連)の購入に使用したい。
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Research Products
(1 results)