2019 Fiscal Year Research-status Report
看護基礎教育における東洋(漢方)医学教育の必要性の検討
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17K17413
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
清水 夏子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (80468305)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東洋医学 / 漢方 / 教育 / 看護系大学 / 看護学生 / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
調査初年度(2017年)は、5校の看護系大学からの調査協力の承認が得られ、総計495名の看護大学生に調査協力依頼およびアンケートを配布し、192名(38.7%)回収することができた(以下、研究協力者とする)。なお、今回の研究協力者には、所属する大学によって東洋(漢方)医学に関する教育を受ける者と受けない者の2群(以下、受講者群、非受講者群)が存在する。そこで、この2群間での違いについても比較、検討していく。 これまでに得た単純集計での調査結果(一部)によると「東洋医学に興味がある」と回答した受講者群で、入学間もない2017年は、50名中21名(42.0%)、初めて患者を受け持つ基礎看護学実習がある2018年の実習前は、76名中47名(61.8%)、実習後は、53名中30名(56.6%)、より専門性を深める各論実習がある2019年の実習前は、81名中45名(55.5%)であった。一方、非受講者群では、2017年142名中31名(21.8%)、2018年の実習前54名中24名(44.4%)、後56名中23名(41.0%)、2019年41名中25名(60.9%)であった。また、「東洋医学に関する受講意欲」について、受講したいと回答したのは、受講者群で、2017年50名中29名(58.0%)、2018年の実習前76名中46(60.5%)、後50名中33名(66.0%)、2019年81名中50名(61.7%)であった。一方、非受講者群では、2017年142名中50名(35.2%)、2018年の実習前50名中42名(84.0%)、実習後55名中39名(70.9%)、2019年41名中27名(65.8%)であった。 当初、筆者が考察した通り、在学中、講義、演習、実習と積み上げ式に学習を深めていく中で、看護大学生らは、東洋(漢方)医学に関するイメージや考えに変化がみられることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、4年間の追跡調査(郵送法)計5回の質問紙調査の内、第4回(より専門性を深める各論実習の前)を実施する計画である。本研究は、調査を実施する以前に、研究協力者が所属する大学の学部長もしくは学科長に実習スケジュール(日程)の確認を取った。各論実習に臨むおよそ1カ月から1週間前のタイミングで調査紙を郵送した。 研究初年度(2017年度)の研究協力者は、192名で、2018年度の調査(第2回、第3回調査)に引き続き、2019年度も5割以上の回収率を目指した。回収率を上げる(研究協力を促す)ため、以下の2点について留意し、実施した。①調査協力の返信方法として、郵送による質問紙への回答・返信とWeb上での回答・送信の2つの方法を用意し、研究協力者がいずれかの方法を選択できるようにした。(なお、いずれも匿名による回答・返信・送信であることに配慮した)②研究協力の際の謝礼(文具)の選定について、予め現役の看護学生に“学生生活において普段活用する文具類”、“欲しくなる文具”について調査した。そして、調査依頼の際には、複数の謝礼品の中から選択できるように配慮し、調査協力の意欲を促した。さらに調査依頼者と協力者の信頼関係を構築するため、調査協力(回答された質問紙の返信)があった1週間以内に手書きのお礼のメッセージカードと共に謝礼品が手元に届くように努めた。 以上の2点の工夫により、2019年度の調査紙の回収率は、123名(64.0%)であった。よって、回収率の目標が維持できた。したがって、研究・調査の進捗状況は、概ね順調に推進できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
郵送法による調査を実施する上での課題は、研究協力者(回収率)の維持、向上である。2017年の初年度調査と比較すると返信数が減少傾向にある。2020年度の調査実施時期は、研究協力者が概ねの実習を終了し、国家試験対策や卒論等に取り組む時期と重なると考えられる。そのため、調査協力者の負担が最小限になるよう、質問紙の内容は、より端的かつ返信期間をこれまでの1週間から1か月よりも長く設け、多くの返信(調査協力)が得られるように努める。また、研究協力に対する文具の謝礼も回収率増加の効果が大きかったと考える。2020年度は、国家試験対策に役立つ文具を謝礼に選定し、研究協力を促していきたい。
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由> 2019年度は、10月より消費税率が8%から10%に増税された。それに伴い、郵送費も値上がりした。さらに研究協力者の返信数も予め把握することが困難なため、当初予定していた郵送準備やデータ入力などを実施してもらう人件費を削減し、研究者自らが一部行うことで調整を図った。その結果、若干の残金が発生した。 <使用計画> 2020年度の助成金と合わせて、データ入力等の人件費にあてたい。
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