2017 Fiscal Year Research-status Report
看護師の道徳的発達段階と看護実践における倫理的課題の認識との関連
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17K17416
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Research Institution | Sapporo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
園田 典子 札幌保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (60714384)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護実践 / 道徳的発達段階 / 看護倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、看護師が日々の看護実践において認識している倫理的課題と対応について明らかにすることを目的とした質問紙を作成し、既存の「DIT日本版―青年期における道徳判断の発達測定のための質問紙」と合わせて2種の質問紙調査を実施した。 質問紙作成に向けて、看護分野における道徳的発達に関連する研究の動向と課題について文献検討を行い、さらに臨床で実際に倫理的課題として注目されている事象について検討を行った。文献検討の結果、看護分野における道徳的発達に関連する文献の多くが看護学生を対象としており、看護基礎教育において道徳的発達に関心が高いことがうかがえた。また、看護師を対象とした研究では、事例検討および特定の場面や状況下での看護師の道徳的発達や道徳的感受性を明らかにするものが多く見られ、看護師は日々倫理的な課題に直面しており、倫理的な実践という視点に重きが置かれていることが推察された。看護実践は患者の個別性や特殊な状況によって同じ場面はなく、看護師が葛藤を感じる場面も様々である。看護分野における道徳的発達に関連する研究数は少なく、引き続き看護師がどのような体験をして、どのような価値判断をしたのかを丁寧に分析し積み上げていく研究が必要があると考察した。文献検討で対象とした文献の中で、倫理的な課題として取り上げられている事象のうち、経験年数や診療科に影響されず、看護師が共通して理解できるものとして検討した結果「抑制の場面」を選出し質問紙を作成した。 現在、質問紙の回収が終了しており、分析の結果をまとめ最終的に論文としてまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に基づき、研究対象施設への研究協力依頼を平成29年10月より開始した。 予定していた北海道および東北にある600床以上の病院20施設に事前連絡の上、書類を郵送し協力を求めたが、依頼先の看護師の勤務状況や、すでに協力している研究数が多いことを理由に協力を得ることが困難であった。そのため、研究実施計画に一部修正を加え、研究対象施設の規模を病床数500前後に修正し、追加で17施設に協力依頼を行った。 このような経緯から、研究対象者への質問紙の配付が調査実施期間の直前となり、返送が調査期間の後半に集中したため、回収後のデータ入力が当初の予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙回収後のデータ入力がやや遅れているが、想定内である。研究実施計画の大幅な変更はせず、平成30年度内でデータ入力、分析を進め、翌年度には中間報告を行えるよう研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究対象施設へ協力を求めるため、直接現地に赴いて研究の趣旨を説明する計画であったが、すべての施設から資料郵送および電話や電子メールでの調整で問題が無いとの回答があり、「旅費」および「その他(手土産代)」の大半が未使用となった。また、質問紙回収が調査期間の後半に集中し、データ入力作業が次年度にずれ込んだため、データ入力作業の「謝金」も発生していない。 次年度にデータ入力作業を依頼する予定であり、効率よく作業を進めるため貸し出し用のノートパソコン等の購入を行い環境を整えると共に、謝金として助成金を使用する計画である。
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