2017 Fiscal Year Research-status Report
山梨県東部における自然災害発生時の対応体制の構築に関する研究
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17K17422
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
黒田 梨絵 健康科学大学, 看護学部, 助教 (50784584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然災害 / 住民のニーズ / 災害対応体制 / 山間地域 / ハイリスク地域 / 災害への備え / 減災 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、山梨県東部の山間地域の住民が望む自然災害発生時の対応体制(①)、および、災害への備えが不十分なハイリスク地域(②)を明らかにすることを目的とし、また得られた結果を、山間地域という地域特性に合致する災害対応体制の構築に資するため質問紙調査を実施した。 質問紙調査は、山梨県東部の山間地域に位置するA市の全9,011戸を対象に実施した。調査は郵送法にて実施し、1,617部の調査協力を得た。 その結果、住民が望む自然災害発生時の対応体制(①)は、市役所には迅速で正確な災害・避難情報の提供、衣食住の提供と確保、孤立地区への対応、被災に対する補償、防災無線等の情報提供ツールの改善等、消防組織には傷病者の救出・救助と捜索、消火・防火対応等、警察には交通状況の確認と周知、避難誘導、防犯対策等、自衛隊には救助・救出、支援物資の搬送、広域搬送、生活復興支援等、病院には傷病者の受け入れ、避難所等への医師・看護師の派遣、救護所の対応と衛生環境整備等が挙がった。 また、A市の居住地域別に災害への備え(②)について見てみると、公共交通機関や医療施設までの距離が離れている山間部の住民は、市街地の住民と比較し、食糧を3日以上備蓄し、家族等と避難の時期や災害危険箇所を話し合っているが、防災訓練に参加せず、避難場所を確認しておらず、災害時に助け合う役割を決めていない傾向がわかった。山間部と市街地の住民では、災害への備えの傾向が異なることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、山梨県東部の住民を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し、住民の自然災害発生時の対応体制のニーズ、および、住民の災害への備えの実態からハイリスク地域を明確にすることを目的として取り組んできた。研究計画どおり、住民を対象に調査を行い、完了した。 調査対象者数においては、研究計画時は対象者数1,000名を目標としていたが、調査依頼時に住民から協力を得られた結果、9,011名に調査票を配布し、1,617名より回答を得ることができ、研究計画以上の成果を得ることができた。また、データの解析も順調で、山間地域の住民が望む自然災害発生時の対応体制については質的分析を、災害への備えが不十分なハイリスク地域については量的分析にて解析し、結果を得ることができた。 調査結果をまとめた報告書冊子を作成し、市役所等にフィードバックするとともに、市の広報誌を活用して、住民に調査結果をお知らせした。現在、成果をまとめ、論文投稿の準備を行っている状況である。 以上のことから、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに遂行する予定である。具体的には、平成30年度は、山梨県東部において自然災害が発生した際に対応の中心となる施設(自治体、消防組織、警察、自衛隊、病院)の災害対応体制の実態と課題を明確にするため、質問紙調査とヒアリング調査を実施する。 また、明らかになった結果をまとめ、研究成果を学会発表、論文作成をおこなう。
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Research Products
(5 results)