2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K17443
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
金 さやか 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (50736585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 角膜移植 / レシピエント / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
角膜移植は、角膜疾患を対象としたドナーを必要とする手術であり、移植の目的としては視機能の改善を求める光学的角膜移植、角膜の白濁などの容姿の改善のために行う美容的角膜移植、角膜穿孔などに対して行う治療的角膜移植に分けられる。角膜移植は、輸入角膜を使用すればレシピエントの都合にあわせて移植を受けることができ、また再移植が可能であるという点で他の臓器移植とは異なる性質がある。そのため、移植の成果は角膜移植の独自性を踏まえて評価される必要があり、再移植を検討する上で、移植の成果を評価することは重大な課題でもあると考えた。そこで、本研究では、角膜移植を受けたレシピエントの患者報告型アウトカムとして、QOL(Quality Of Life)評価尺度の開発を行うことを目的とし、角膜移植レシピエントの面接による質的データをもとに心理尺度の開発及び検証を行う。 2018年度にまでに15名の面接を行い、面接調査は終了した。面接調査で得られた結果としては、移植患者のQOLは視機能と自身の社会機能への満足度が影響していた。視機能は単に視力を指すのではなく、色覚・立体視・視野など総合的な「見え方」であり、見え方に満足が得られる者は移植に満足していた。角膜の白濁などによる容姿へのコンプレックスの解消や、角膜の疼痛が移植によって改善した者は、身体的・精神的な苦痛が緩和することにより、見え方に関係なく移植に満足していた。移植の満足度には、成人期では就業の有無、老年期では趣味活動や余暇が影響しており、いずれの年代でも自身のやりたいこと・自身の社会機能への満足度が移植の満足にもつながり、QOLを高めていた。 角膜移植レシピエントのQOLは、視機能と苦痛の緩和、社会生活への満足度で構成されていることが明らかとなったことから、今後は発達段階に応じた社会機能について考慮し、尺度開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、角膜移植レシピエントのQOL評価尺度の開発を進めているが、角膜移植を発症した年代や現在の年齢によって、患者が重要視する内容が異なることから、QOLの構成要素についての検討に時間を要している。また、視覚障害者を考慮した適切な質問紙作成についてもデザイン的な側面を考慮が必要で準備に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定:2019年8月以降(倫理審査承認後)質問紙調査を開始する。 現在のところ、質問紙の内容を校正している段階である。 今後は視覚障害者やアクセシビリティの専門家にコンサルトを受け、質問紙の見やすさ、回答のしやすさについて意見を聴取し、改良した質問紙で調査を実施する。
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Causes of Carryover |
所属大学の保有する分析ソフトを使用したため、ソフト購入をしなかったこと、予定していた質問紙の発送を行わなかったことから差額が生じた。
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