2017 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢がん患者がもつ「痛みを伝える力」の解明-潜在能力を活かした疼痛ケア
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17K17447
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
櫻庭 奈美 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (90709213)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん看護 / 高齢がん患者 / がん疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】身体の自己報告が困難とされている認知症を伴う高齢がん患者が適切な疼痛緩和治療を受けるために必要とする疼痛表現能力を特定し、疼痛緩和につなげるための実践的アプローチを検証することを目的とし、今年度は先行研究から高齢がん患者の【痛みを伝える力】を特定し、作業的概念を抽出することを目的とした。【方法】2012~2017年までの高齢がん患者の疼痛緩和に関する文献を2つのデータベース(医学中央雑誌、CINAHL)と5つの学術雑誌(日本がん看護学会誌、老年看護学開始、Cancer、Palliative Medicine、Journal of pain and symptom management)から検索し、その中から患者の能力について記載されている文献を選択し精読した。さらに、病棟に勤務する看護師と入院している高齢がん患者がやりとりをする場面の参与観察、認知機能低下を伴う高齢がん患者のがん疼痛緩和に携わる訪問看護師からのヒアリングを実施した。【結果】文献検索において海外5件、国内12件の文献が抽出された。文献から、患者の記憶力、意思決定能力などについて記載されている箇所が少なく概念抽出に耐えうる文献の選択が困難であった。さらに認知症についてもアルツハイマーや脳血管型といった認知症の種類によっても能力に大きな違いがあり、意思決定能力や記憶力にも個人差が多くみられ、痛みを伝える力の特定の方法にも課題が残された。そこで参与観察とヒアリングから得られた看護師と患者のやり取りの時間、方法、内容についてデータ収集を行った。次年度は、得られたデータを分析して、作業的概念を抽出する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢がん患者の記憶力や意思決定能力を推測できるだけの情報が記述されている文献が少なく、能力を査定することが困難であった。さらには、認知症の種類だけでなく、コミュニケーション能力そのものも個人差が大きく、痛みを伝える力の概念抽出が予定以上に難航したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、参与観察とヒアリングから得られた看護師と患者のやり取りの時間、方法、内容について分析し、作業的概念を抽出する予定である。
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Causes of Carryover |
痛みを伝える力の作業概念の抽出が予定以上に時間がかかっており、参与観察とヒアリングの日程が追加となった。そこで得られたデータ分析に向けて使用する予定である。
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