2018 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者の家族介護者のレジリエンスと死別後の精神的健康への影響に関する研究
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17K17460
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
清水 陽一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 外来研究員 (50791935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族 / レジリエンス / 遺族 / 終末期 / 心理的苦痛 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本ホスピス緩和ケア協会認定施設である4つの緩和ケア病棟において、各施設の実施許可日~201Z年X月Y日の期間に入院された終末期がん患者の家族介護者を対象に、レジリエンス及び精神的健康に関する自記式質問紙を用いた横断調査を行い、291名の方より回答を得た。回答を得られた291名のうち各施設で201Z年X月末日までに亡くなられた181名に遺族調査用の調査票を郵送し、107名より回答を得た。 緩和ケア病棟に入院中に家族介護者を対象に実施した横断調査(回答者:291名)では、終末期がん患者の家族介護者が中等度以上の抑うつ症状を有する割合は43.6%、中等度以上の不安症状を有する割合は23.9%であった。ロジスティック回帰分析で、家族情報(年齢、性別、続柄、付添を交代してくれる他の方の有無、病状の変化に気持ちが揺さぶられるかどうか、介護負担、普段から患者と病気や生活について話しをしているかどうか、等)、患者背景(年齢、入院する直前の日常生活動作の状況等)で調整後も、レジリエンスの高さの中等度以上の抑うつ症状を有するリスクに対する関連(OR=0.96, p<0.01)、と中等度以上の不安症状を有するリスクに対する関連(OR=0.96, p<0.01)は有意であった。 また、レジリエンスの高さには、(1)内的統制型のローカス・オブ・コントロールが高い、(2)患者の死に対する心の準備性/覚悟ができている、(3)家族機能が良好、(4)コーピングとして、積極的コーピング、ユーモアを利用する傾向がある、(5)コーピングとして、道具的サポートの利用や行動的諦め、自己非難を利用しない傾向にある、が関連していた。 現在、遺族調査の結果及び死別前後のデータを連結した死別前後の縦断データについて解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、平成29年度に緩和ケア病棟に入院中に家族介護者を対象に実施した横断調査を実施し、平成30年度~31年度に遺族調査を実施する計画を立て、計画時より遺族調査の時期が遅くなったが概ね進捗としては計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、遺族調査及び連結データの解析を行っており、主たる連結データの解析終了後に、ベースラインデータの解析結果、遺族調査の結果、連結データの結果について学会発表と論文投稿を計画している。
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Causes of Carryover |
論文投稿や学会発表を計画時では、ベースライン時点(緩和ケア病棟入院中)のデータの解析が終了したら随時、公表する予定であったが、メインとなる死別前後の連結データの解析を終えてから公表していく方針に変更したため、英文校正や学会参加に伴う費用等の支出が予定より少なかくなったため次年度使用額が生じた。 2019年度前半に死別前後の連結データの解析に必要なソフトウェアの購入、解析後の英文校正、学会発表のために渡航費用などに支出予定である。
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