2019 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者の家族介護者のレジリエンスと死別後の精神的健康への影響に関する研究
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17K17460
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
清水 陽一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 看護師 (50791935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺族 / レジリエンス / 家族 / 終末期 / 心理的苦痛 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に実施した遺族調査において、最終的に108名より返信があり、そのうち8名が回答拒否、19名が回答者の性別、続柄、年齢が一致していないため除外し、71名がベースラインデータと遺族調査のデータの連結による解析対象となった。 患者が緩和ケア病棟に入院中において、家族介護者が中等度以上の抑うつ症状を有する割合は47.0%であった。一方で、遺族調査の時点で、家族介護者が中等度以上の抑うつ症状を有する割合は15.2%であった。 死別前に中等度以上の抑うつ症状を有していた家族介護者のうちレジリエンスが高い(58点以上)家族介護者は、平均(SD):-8.4(4.10)点の改善がみられたのに対し、レジリエンスが低い(57点以下)と平均(SD):-6.7(5.76)点の改善であった。一方で、死別前の抑うつ症状の程度が軽度以下の家族介護者についてはPHQ-9得点の変化は平均(SD)で-2.1(3.15)点で、レジリエンス得点による差はなかった。レジリエンスの抑うつ症状の程度の変化への影響を評価するため、死別後のPHQ-9得点を被説明変数、死別前のPHQ-9得点とレジリエンス得点、交互作用項を説明変数として回帰分析を行い、死別前のPHQ-9得点(β=1.2, p<0.01)、レジリエンス得点(β=0.09, p=0.62)、交互作用項(β=-0.72, p=0.046)であった。 一方で、複雑性悲嘆のリスク、外傷的ストレス後成長(Post-traumatic Grpwth)や後悔とレジリエンスの関連は確認されなかった。 緩和ケア病棟に入院中の時点で心理的苦痛が強く抑うつ症状が強い場合もレジリエンスが高い場合は死別後に回復するのに対し、レジリエンスが低い場合は抑うつ症状が維持される傾向が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度に行った遺族調査の実施時期が少し遅れた関係で、遺族調査のデータとベースラインデータの連結作業やデータの固定が予定より遅くなった。そのため、結果の公表時期が予定より遅れているが、研究全体の進捗としては概ね計画通りと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、得られたデータの解析を行っており、結果について国内外の学会や論文において発表予定である。合わせて、副次データについても学会や論文で公表予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度の計画の段階では前半に解析、後半に結果の公表を予定しており、死別前後の連結データの解析に必要なソフトウェアの購入、解析後の英文校正、学会発表のために渡航費用などに支出予定であったが、死別前後の連結データの固定が11月末となったため結果の公表時期が2020年度に変更となった。そのため、解析後の英文校正、学会発表のために渡航費用などに支出予定の経費が2020年度に繰り越しとなった。 2020年度に、解析結果の公表のため、英文校正、学会発表時の渡航費用等に使用予定である。
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[Presentation] がん患者の家族介護者のレジリエンスと死別後の抑うつとの関連(J-HOPE4付帯研究)2020
Author(s)
清水陽一, 前田一石, 林章敏, 高野真優子, 三浦智史, 井上彰, 升川研人, 木澤義之, 森田達也, 志真泰夫, 恒藤暁, 宮下光令
Organizer
緩和・支持・心のケア合同学術大会2020