2017 Fiscal Year Research-status Report
早産児におけるカンガルーケアの客観的な有効性の検証―循環変動を指標として―
Project/Area Number |
17K17471
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 麻友 香川大学, 医学部, 助教 (10786528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カンガルーケア / 低出生体重児 / NIRS / 心拍変動 / 脳血流 / 愛着形成 / 母子 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児の母が、新生児集中治療室で行うカンガルーケア(児を母の乳房の間に抱いて裸の皮膚と皮膚を接触させるケア方法)における、母親・早産児への有効性を、母親の脳血流と心拍変動、児の心拍変動から客観的に検証する研究を行っている。この効果の検証をすることで、母子愛着形成促進プログラムの開発に応用が期待できる。 平成29年度は研究に関する更なる文献レビューを行い、研究計画書をさらに見直し、当大学の倫理委員会からの承認を得た。脳血流と心拍変動測定のテストを成人で行ったが、小型無線センサ特有の測定機器上の限界や脳血流測定機器(NIRS)の一部破損もあり、より安定したデータ測定が可能な機器が必要であることが判明した。より適した器材を再度検討し、変更もしくは新たに準備した。また、複数のアナログデータを同じタイミングで記録する重要性も判明したため、PowerLabシステムを導入した。これにより、母の脳血流、心拍変動・児の心拍変動の同期性をより正確に測定することが可能となる。 正確なデータを測定するために、新たに準備した器材等の設定・測定技術習得を行い、器材の具体的な使用方法を含めた測定手順を作成しなおした。また、脳血流や心拍を測定するにあたって、対象者の動きや覚醒・睡眠という意識状態も測定データに影響を及ぼすため、より正確なデータ解析をするためのデータ処理への準備として、データ測定時の統一的な記録方法も検討した。またテスト測定した心拍変動のデータの解析テストも行っている。 この間、研究対象者が使用するNICUは改修工事を行っており、実際に測定する場所において、器材などを現地で設置しシミュレーションを行い、NICUの業務や母児面会への支障が最小限となるよう再度検討した。 今後、測定テストを行いながらデータ測定を実際に行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会への申請や文献レビューは進められていたが、実際にデータ測定テストを行っていくうちに、より正確なデータ測定のために測定機器の変更や改良を行い、その設定や機器の手配、設置、測定技術習得に時間を要した。また研究者の予想よりも、対象施設での研究対象の範囲となる早産児の数が少なかったため、測定機器が整っていてもデータ測定が行えなかった状況があった。しかし今回、より具体的で確実なデータ測定方法を検討・準備したことは、今後得られる研究結果において重要であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度: 1.文献レビューの学会発表:カンガルーケアの効果に関する文献レビューをより詳細に行い、8月にタイで行われる国際シンポジウムで発表する。 2.データ収集・データ分析を進めていく。 平成31年度: 1.引き続きデータ収集・データ分析を進めていく。データ収集数は総数20組を予定している。 2.研究成果を論文にまとめ、関連学会で発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、データ測定が当初の予定に比して遅れており、消耗品の使用が予定より少量となっていたためである。今年度は文献レビューを国際シンポジウムで発表するため、それに関連した旅費(渡航費、宿泊費、学会参加費)や英語論文校閲費用に助成金を使用する予定である。また、測定開始後の心拍変動測定用の電極、NIRSプローブ関連の消耗品に使用する予定である。
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