2019 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期の重症心身障がい児の家族のヘルスリテラシーの様相の解明
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17K17475
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
椿 祥子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (10604861)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 障害児 / 中途障害児 / ヘルスリテラシー / 家族 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児期の重症心身障がい児の家族6名にインタビューを実施した。その中で、中途障がい児の母へのインタビュー内容について分析をした。その結果、障がい発症から1か月間の家族のヘルスリテラシーの様相として「母は目に見える児の状況に一喜一憂しながら、健康に必要な状況を考え、自らコーディネートしてその状況を実現していた。一方で、脳の神経細胞の過剰興奮を起こさないことと発達に必要な刺激が送られることの両立という知識の不足から、過剰刺激を避けることを優先し不快刺激をそのままにしたり、逆に、快の反応を喜び、その刺激が過剰となる可能性について考えていない」状態が明らかとなり、第45回重症心身障害学会学術集会にて発表した。さらに、障がい発症から退院するまでの4か月間の家族のヘルスリテラシーの様相として、「家族は、家族なりに児の不快反応に気づき、感情が動いて、その不快をととのえようと自ら周囲に働きかける力を持っていた。一方で、児の状況がどのように変化しどういう状態なのかが理解できず、不快に気づいてもととのえることが出来なかったり、回復に気づかない状況」が明らかとなり、第8回日本小児診療多職種研究会で発表した。これらのことから、児の身体状態が大きく変化した急性期には、家族は児の状態の理解がしづらく、知識を自ら情報収集する精神的余裕もない状況で、家族のヘルスリテラシーの発揮が妨げられる状況となることがわかった。そのため、児の健康に向かい家族のヘルスリテラシーが発揮されるためには、医療者が、そのような状況を理解し、家族の理解内容をその都度確認し、必要時医療者が捉える児の状況を家族と共有していく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー時間が予定より多く、データ量が多くなってしまったため、分析がスムーズに進まず、遅れている。また、昨年度は教員数が減少し、教育への時間が多く必要となり、研究時間の確保が難しかった。さらに、新型コロナウイルス感染防止により、研究指導が十分に受けられない環境となってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、分析を進めてきた中途障がい児の家族に関する内容を、事例分析として、学会誌に投稿する。その後、他の5名のインタビュー結果も分析、統合して、学会誌に原著論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
R元年度に学会発表した内容を、次年度論文投稿する予定である。そのため、投稿料や別刷印刷代が必要である。また、まだ未発表の内容に関しては、学会発表をする予定のため、旅費が必要である。
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