2019 Fiscal Year Research-status Report
慢性疾患患者がいる家族と看護師の家族コンコーダンス達成力アセスメントモデルの開発
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17K17495
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
高谷 知史 大手前大学, 国際看護学部, 講師 (90757303)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家族コンコーダンス / 家族看護学 / 家族のセルフマネジメント / 訪問看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年(平成31年)は,訪問看護師を対象とした家族コンコーダンス形成力の構成概念ならびに影響因子のKJ法を用いた個別分析(平成30年度実施)をさらに進め,当概念の帰結の抽出を実施した.また,それらの結果を統合する総合分析を実施し,その結果を図解化した上で,家族ケア・ケアリングモデルの理論的枠組みに統合した.具体的には,『在宅医療を受ける慢性疾患患者がいる家族を支援する訪問看護師による家族コンコーダンス形成力の構造』として図解化ならびに叙述化を行った.その中で,「構成概念」「影響因子」「帰結」の要素としては,以下が明らかになった(「構成概念」は平成30年度に報告済みのため省略する). まず,「影響因子」については,【患者・家族因子】では,〈家族員間での医療や介護への遠慮〉等,【看護師因子】では,〈家族の介護力への否定的な思い込み〉等,【家族-看護師関係因子】では,〈家族への過度な指示的態度〉等,【療養環境・組織因子】では,〈家族との情報共有のシステム化〉等,【医療・介護・福祉因子】では,〈介護・福祉職の積極的な意見姿勢〉等の5カテゴリに分類された. 次に,「帰結」においては,大きく分けて次にあげる4カテゴリの帰結が明らかになった.【対主介護者】では,〈看護師へ相談できるようになる〉等,【対看護師】では,〈主介護者の価値観に沿う看護実践に自信をもつ〉等,【対家族システムユニット内】では,〈家族内において主体的な問題解決ができるようになる〉等,【対医療・介護・福祉チーム内】では,〈多職種の役割を尊重したチームによる家族支援を学ぶ〉等であった. 現在,家族看護学の実践・教育・研究者らによる専門家会議において,以上の総合分析ならびに家族ケア/ケアリングモデルへの統合のリガーを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自身の転勤による大学運営ならびに教育業務へのエフォートの偏りにより,令和元年(平成31年度)の上半期に実施した,訪問看護師を対象とした家族コンコーダンス形成力の構成概念・影響因子・帰結の総合分析ならびに図解化・叙述化,そして,家族ケア・ケアリングモデルへの統合の研究過程において,予定より時間を要した. その後,下半期にて,平成30年度に繰り越し計画していた,家族を対象としたインタビュー調査について,対象施設をリクルートし研究対象者へのインタビュー調査の同意を得て調査を開始する準備ができていたが,COVID-19による緊急事態宣言の発令により,調査が延期になっている. 令和元年(平成31年度)に当初計画で実施予定としていた「看護師が具備すべき家族コンコーダンス形成力」を測定する尺度開発研究については,取り組みが不十分である.しかし,訪問看護師を対象とした家族コンコーダンス形成力の構成概念の分析は完了しており,それらをアイテムプールとした尺度原案に取り掛かる準備はできている.また,帰結や影響因子についても同定することができ,尺度開発過程において,併存妥当性の検討に必要な尺度の検討は可能であると考える.したがって,当初の分析よりやや遅れてはいるが,尺度開発の調査のための準備はより洗練されていると考えらえる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,令和元年(平成31年度)の研究成果を国際的な学術集会で発表予定である.また,令和元年(平成31年度)の下半期で実施予定であった家族を対象としたインタビュー調査については,COVID-19の状況を慎重に判断しながら,対面あるいは遠隔的な方法で調査の実施を検討していく.さらに,訪問看護師を対象とした「訪問看護師が具備すべき家族コンコーダンス形成力」の構成概念をアイテムプールとした尺度原案の信頼性・妥当性の検討を行う.
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Causes of Carryover |
令和元年度(平成31年度)は,研究の遅延のため,尺度開発にかかる調査のための費用ならびに学会発表にかかる経費を支出していないためである. 令和2年度において,尺度開発にかかる調査のために,調査依頼にかかる通信費や交通費,分析過程にかかる人件費,成果公表にかかる諸費用等において使用する計画である.
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Research Products
(1 results)