2021 Fiscal Year Research-status Report
精神科救急外来での非自発的入院を防ぎ患者の主体性を維持するための支援方法の検討
Project/Area Number |
17K17501
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶原 友美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90706920)
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Project Period (FY) |
2018-02-28 – 2023-03-31
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Keywords | 精神科救急急性期 / 非自発的入院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、欧米に比べ精神科アウトリーチが十分に発達していないわが国において、精神症状の急性期に、非自発的入院を防いだり、非自発的入院であっても、患者が可能な限り、強制力を認識せず、「主体性」を維持するための支援方法を実態調査をもとに検討することを目的としている。 本年度は、関西圏の精神科救急急性期の医療施設(入院病棟、外来)で働く、医師、看護師、精神保健福祉士、心理師、計13名へのインタビューを実施した。その結果、治療モデルの先行するわが国の精神科救急急性期医療においても、各個人や、各病棟の努力において、患者の「主体性」を支える支援が行われていることが分かった。一方、特に欧米の研究で、非自発的入院による悪影響を軽減するための実践として言及されている構造化された取り組みや、外部の専門家の関与といった実践は語られず、わが国の実践のうち、改善すべき側面も示唆された。 また、精神疾患患者の「主体性」を操作的に定義して、インタビューを行ったものの、現場の医療者は、「主体性」を同意能力や意思決定と同等のものとして語る傾向にあった。したがって、質問紙調査を実施し、日本の精神科救急急性期医療の実態を把握する前に「主体性」の更なる概念整理の必要性も示唆された。 Covid-19感染拡大による対象施設の多忙により、当初予定していた対象者とのインタビューの日程調整が年度内に間に合わなかったものの、分析の途中経過について、国際学会にて発表を行い、示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19感染拡大による対象施設の多忙により、当初予定していた対象者とのインタビューの日程調整が年度内に間に合わなかったため。 更に、インタビュー結果から、当初、明らかにしようとしていた「主体性」について、近接する語句との混乱があることが示唆され、質問紙調査の前に、特に精神障がい者の「主体性」についての概念の使われ方について、更なる整理が必要であることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れているインタビュー調査に関しては、既に日程調整を行っているため、予定通りインタビューを実施、分析し、データの飽和を目指す。 「主体性」の概念整理については、概念分析を行い、近接する概念との違いを明確にした上で、「主体性」を維持する支援として認められるものを抽出する。
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Causes of Carryover |
Covid-19による対象施設の多忙により、インタビューの日程調整が年度内に間に合わなかった。インタビュー実施や、分析結果の妥当性を確認するためのメンバーチェッキングに係る資料作成費用が必要である。 また、「主体性」の更なる概念整理のための、論文の入手やデータ保存のための費用、データ整理のためのアルバイト費用が必要である。
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Research Products
(1 results)