2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluating exercise capacity using wearable measuring devices
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17K17502
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 暁生 神戸大学, 保健学研究科, 特命助教 (30758842)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | COPD / ウェアラブルセンサ / バイタルサイン / 時間内歩行試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して6分間歩行試験が日常生活における運動耐容能を評価する手法として推奨されて広く実施されている。6分間の歩行距離は主要なアウトカムであり生命予後と関連するが、近年、試験中に持続的にバイタルサインをモニタリングすることでより多くの情報が得られるようになってきた。呼吸数は呼吸困難感と関連を示すものの、6分間歩行試験中には目視の計測が難かしく、マスクを用いた計測は高齢者中心のCOPD患者には負担が大きいことから十分に検討されていなかった。本研究ではウェアラブルセンサを用いた非侵襲的な呼吸計測システムを歩行試験に適用することで、日常生活動作における労作時低酸素と呼吸パターンの関連を明らかにし、患者理解に役立つ運動耐容能の新たな評価法の作成に向けた研究基盤を確立することを目的に取り組みを進めている。 本年度は、昨年度までに開発したウェアラブル呼吸数呼吸計測システムを用いて臨床での測定環境を構築し、実際の歩行試験における測定の妥当性検証を行った。健常成人とCOPD患者が6分間歩行試験の際に呼吸数計測システムを利用した。1分毎の呼吸数をアウトカムとして歩行試験における呼吸数の精度を市販の呼気CO2モニターで得られる呼吸数と比較、検証した。これまでに若年健常者とCOPD患者の40名以上に対して測定を行った。ウェアラブルセンサは呼吸数を誤差4回以内で測定しており、許容範囲内のデータが得られたと考えている。実験結果は国内外の学会にて成果を発表し、システムの呼吸数精度検証に関する健常者の予備データは国際学術雑誌へ投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、申請書記載の研究項目1(呼吸数計測システムの基盤開発と精度検証)を本実験となる臨床の6分間歩行試験においても実施し、研究項目2(動作時の低酸素血症に関連する呼吸数パターンの検討)に着手した。項目3(日常生活中の呼吸数モニタリング)は予備実験を行った。 項目1は、健康若年成人および安定期COPD患者を対象に行なった。患者群は、倫理審査委員会の承認が得られた三施設より募集を行なった。対象者は呼吸数計測システム、パルスオキシメーター、呼気CO2モニタを装着し、標準的な手技に基づいて6分間歩行試験を行った。精度分析は1分毎の呼吸数をアウトカムとして、CO2モニタから得た呼吸数と比較した。 年度末までに、健常者群およびCOPD群各23名のデータが集まり、誤差は±4回/分以内で臨床評価に概ね許容できる精度と考えられた。低酸素血症と呼吸数に関する分析は、症例数を蓄積している段階である。項目1の臨床での精度検証および項目2の一部は国内外で学会報告を行った。また、2017年度に実施した呼吸数計測システムの実験結果を国際誌に論文投稿した。 項目3は、健常若年者を対象に座位、立位、歩行および走行、臥床時に呼吸数計測システムの精度検証をFlowセンサおよびインピーダンス式呼吸モニタとの比較で実施した。臥床を除く動作時にはインピーダンス式モニタと同程度の精度であることが確認されたが、臥床時には精度が大きく低下し抜本的な見直しが必要と考えられた。同実験の結果の一部は2018年度の国際学会にて報告を行った。 以上から、全ての研究項目について着手した。項目1は実施、評価に至り、項目2は、実験環境を構築し症例を蓄積している。3つ目の日常生活中の呼吸数計測については、技術的な課題が大きく見直しが必要と考えられた。以上のことから、「概ね順調に進展している」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、呼吸数計測システムの6分間歩行試験における妥当性が2018年度において概ね確認されたため、研究計画における二つ目の臨床アウトカムと呼吸数の関連を検証することを優先して取り組みを進めていく。2018年度までに三つの医療機関にて倫理審査が完了し、臨床での測定が開始できている。2019年度は、引き続き症例数を蓄積し、最終的な分析と研究課題に関する考察を行うことが目標となる。最終年度となるため、症例数の蓄積を促進するために2018年度までに目標症例数に達した二施設での測定を終了し、研究資源を残る施設での測定に集中する計画である。また、2018年度には測定に至らなかったが研究協力が得られる見込みの施設については、引き続き調整を行って施設数が増加できるように進める。他方で、2019年度より研究代表者の所属機関が変更となったため、確実に症例数が蓄積できるように現在、取り組みが進んでいる一施設での測定を最優先に行うこととする。 分析にあたっては、COPDと健常群との間で呼吸数を含む呼吸循環の変数の時間変化パターンを比較していく。続いて気流閉塞の重症度や低酸素血症の有無によって呼吸数にどのような変化が認められるか検証していく。分析にあたっては、協力医療機関を含む呼吸器や呼吸リハビリテーションの専門家から助言を求めながら進めていく予定である。 また、最終年度にあたるため2018年度までに行った成果を国内外の看護およびリハビリテーションに関する多職種の学術集会で報告し、6分間歩行試験中のCOPDおよび健常者に関する呼吸数計測システムの妥当性検証に関する成果については国際学術雑誌への論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
最終年度となる2019年度は、医療機関における症例数の蓄積のため2018年度までに構築した実験設定を維持するために、各医療機関との連絡調整のための費用、および実験のための物品費および機器の故障などに備えた費用を支出する予定である。また、2018年度までに行った6分間歩行試験における呼吸数計測システムの精度検証に関する実験結果は、国内の看護およびリハビリテーションの学会へ報告するとともに論文へまとめて国際学術誌に投稿する計画である。そのため、学術集会への参加の費用、論文投稿にかかる英文校正費などの支出を見込んでいる。
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[Presentation] Validity of wearable breath monitoring system using stretchable strain sensors in walking.2018
Author(s)
Yamamoto, A. Nakamoto, H. Terada, T. Watanabe, Y. Fujimoto, Y. Oki, Y. Iwata, K. Yamada, K. Murakami, S. Ono, K. Bessho, Y.
Organizer
Annals of Physical and Rehabilitation Medicine
Int'l Joint Research