2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluating exercise capacity using wearable measuring devices
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17K17502
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 暁生 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (30758842)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウェアラブルセンサ / COPD |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコ煙を主とする粒子への曝露により生じる慢性の炎症性疾患であり、気流閉塞によって労作時の息切れを主症状とする。息切れにより低下するCOPDの運動耐容能は、時間内歩行試験によって評価することが広く臨床場面では行われている。本研究の目的はウェアラブルセンサを用いた非侵襲的な呼吸数計測システムを開発し、①同システムの精度検証および、②COPDの6分間歩行試験(6MWT)により評価した運動耐容能と呼吸数との関連を明らかにすることである。 2019年度末までに、主管施設および協力医療機関で倫理審査の承認を得ることができたため、書面で同意を得た安定期COPDと健常成人を対象に6MWTを実施し、呼吸センサの精度を検証する臨床研究を行った。ウェアラブルセンサから胸郭運動を計測し、独自に開発した呼吸周期同定アルゴリズムを用いて1分毎の呼吸回数を取得した。呼吸回数の精度は携帯型カプノメーターとの一致度により評価した。また呼吸数の時間変化をCOPD群と健常群の間で比較した。 包含条件を満たした50名のCOPD患者と23名の若年健常者のデータを分析対象とした。全被検者のウェアラブルセンサによる呼吸回数はカプノメーターと95%一致限界が4回/分未満であった。RMS Errorは1.8±0.91回/分であった。COPD群は健常者群よりも誤差の上限値は有意差をもって大きかったが(P = 0.049)、RMS Errorや平均誤差には群間差は見られなかった。誤差と関連する被検者の背景や運用上の課題についての詳細な検討は今後の課題である。現時点において、ウェアラブルセンサを用いた呼吸数計測システムの測定性能は、実際の6MWTにおいても一定の精度を達成できる可能性が示唆された。精度検証および呼吸数と運動耐容能に関する予備的な検討の経過は、国内の2つの学会にて報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度より研究代表者の所属機関が変更となったため、臨床研究の症例集積のペースが予想よりも遅くなってしまった。 年度末に患者データの目標には概ね達することができたが、新型コロナウイルス感染症の流行により追加のデータ取得は困難になったため、データの集積は年度末で終了することとした。 呼吸パターンの長時間計測については、呼吸数計測システムの確立に時間がかかっていることと、新型コロナウイルス感染症により新たな実験の実施に関して制限がかかっているため実施が困難になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末までに若年健常者およびCOPD患者での臨床データの取得は終了としたため、次年度はデータの分析と成果発表に向けた取り組みを行う。 これまでに呼吸数計測システムの基本的な呼吸数に関する精度検証は行うことができた。今後は取得データの追加分析として、誤差の大きかった事例の特徴および開発したシステムの運用面での改善方法を明らかにする。長時間計測も見据えて、デバイスの改良点などを明らかにしていく。また、着手できていない運動耐容能や低酸素血症と呼吸数との関連を調べる分析についても取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、2019年度に研究代表者の所属が変更したために、臨床でのデータ計測が予定よりも遅くなったことが挙げられる。また新型コロナウイルス感染症の流行により、新たな実験を始めることが困難になったため2019年度末までで臨床データの取得は終了としデータの蓄積に専念した。 2020年度は、前年度までに取得したデータの解析および論文投稿などの成果発表に重点を置いて取り組む。解析のためのコンピューターおよび周辺機器の購入を行う。成果発表に関しては、学会への参加費や論文投稿のための校正費用、投稿料、関連文献の購入などの支出を予定している。また研究の助言を得るために研究協力者との会議を対面や遠隔で行うために、情報通信機器や小規模会議のための周辺機器を購入する。また新型コロナウイルス感染症の流行状況をみながら長時間計測に向けた予備実験を実施するための機材を購入する。
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[Journal Article] Monitoring respiratory rates with a wearable system using a stretchable strain sensor during moderate exercise2019
Author(s)
Yamamoto, A., Nakamoto, H.,Bessho, Y., Watanabe, Y., Oki, Y., Ono, K., Fujimoto, Y., Terada, T., Ishikawa, A
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Journal Title
Medical & Biological Engineering & Computing
Volume: 57
Pages: 2741, 2756
DOI
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[Presentation] 慢性閉塞性肺疾患における6分間歩行試験中の呼吸数に関する研究2019
Author(s)
山本暁生, 中本裕之, 澤田格, 大澤悟志, 岩田優助, 別所侑亮, 金子正博, 酒井英樹, 山口卓巳, 門浄彦, 西馬照明, 大西伸悟, 藤本由香里, 石川朗
Organizer
第59回日本呼吸器学会