2020 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホームで暮らす認知症高齢者の日常生活で抱く自己を価値づける意識の構造
Project/Area Number |
17K17512
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
秋定 真有 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (20738546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 特別養護老人ホーム / 当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人生の統合を支える看護援助モデルの構築に向けて、特別養護老人ホームで暮らす認知症高齢者の自己を価値づける意識の構造を明らかにすることである。 これまでには、特別養護老人ホームで暮らす認知症を有する高齢者5名を対象に、1人につき数回のインタビューを実施した。インタービューデータの分析結果では、「安心し過ごせる日常が保証された環境」、「老いる自分を容認する心」などの6つのカテゴリーが抽出された。なお、分析過程においては、特別養護老人ホームで暮らす認知症を有する高齢者1名のメンバーチェッキングを受けた。 これらの分析結果は、認知症を有する高齢者にとって、心身の老化や認知症症状の進行を自覚し喪失体験をしながらも、特別養護老人ホームで安心したケアを受けられることで、自分の老いを受け入れようとすることができていた。また、特別養護老人ホームで暮らす認知症を有する高齢者にとって、特別養護老人ホームという場おいて他者とともに暮らす生活において自己と他者を比較しながら、自分の存在価値を見出せる場となっていること、人生の最期まで安心して過ごせる場だと感じられることが生きる支えもつためには必要であることが推察された。 2020年度においては、本研究においてこれまでに得られた研究成果を老年看護学会学術集会で公表した。今後は、本分析結果で示された特別養護老人ホームで暮らす認知症を有する高齢者が生きる支えをもてる援助の検討に着手していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでに得られた分析結果についてのスーパービジョンを得るため、特別養護老人ホームで認知症を有する高齢者への看護実践が豊富である看護職にヒアリング調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症流行に伴い、高齢者施設での調査が困難であったこと、看護職の業務が逼迫している状況で協力を得ることが困難であったこと、研究者の研究施設での業務が多忙であったことから、ヒアリング調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者施設の看護職の協力を得られやすいヒヤリング調査の実施方法をとっていく予定としている。今後は、分析結果の厳密性の確保を図り、学会誌への投稿を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響で、当初の研究計画が遅延しているため。分析結果の妥当性のためのヒアリング調査、および研究成果の執筆、発表ために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)