2018 Fiscal Year Research-status Report
神経性やせ症患者の身体感覚の回復に向けた、精神看護ケアガイドライン
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17K17515
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
井上 さや子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (30758967)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体体験 / 神経性やせ症 |
Outline of Annual Research Achievements |
当事者4名より、発症後から現在までの身体体験について、半構成的にインタビューを行った。それらから、【身体体験】5カテゴリー28サブカテゴリーと【行動】3カテゴリー11サブカテゴリーが抽出され、神経性やせ症をもつ人の身体体験モデルが考案された。具体的には、身体体験は【根底にある情念】を基盤に【誤った身体の認識】【おかしさに気付く】【変化への怖れ】【回復を感じる】の4局面があり、行きつ戻りつしながら回復への道のりを歩んでいた。【おかしさに気付く】【変化への恐れ】【回復を感じる】の局面では、【おかしさからの変容】【怖れへの対処】【折り合う】の3つのレベルの行動があり、非効果的な対処を繰り返しながら、長い闘病体験の中で効果的な対処を獲得していた。 神経性やせ症をもつ人は、生じているはずの身体感覚を見逃し、事実は知覚するものの響かず、部分的な身体変化にのみ注目してしまうなどの身体の認識のいびつさやアンバランスさがあることが本調査でわかった。 また、【根底にある情念】が何かによって、その後の体験に大きく影響を与えていることが考えられた。 さらに、回復を感じている人も、痩せたい思いがこびりついて離れない辛さ、不安定さや、社会のなかで生活するのに十分でない体力など、心理的にも身体的にも十分に回復したと感じることができないでいることがわかった。 平成31年度は、これらの結果を元に、看護専門職者の意見聴取を行いながら、実現可能な看護ケアを検討し、ガイドライン案を作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、研究者の体調不良により、長期的な休暇をとることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回考案された身体体験モデルを元に、専門性の高い看護専門職者と看護ケアを検討し、ガイドライン化を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は看護ケア抽出のためのインタビューを実施する計画であったが、研究者の長期病気療養のため、研究に着手できない状況であった。そのため、平成29年度実施予定であった当事者のインタビューの実施とその分析から看護ケアを検討し、高度な看護専門職数名の意見を聞き取り、実現可能な看護ケアを考案する予定である。そのため、複数回の出張費または招聘費の使用やテープ起こし、専門学会への発表にかかる経費を予定している。
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