2018 Fiscal Year Research-status Report
老年期うつ病者のナラティヴから創出する治療的ケアプログラムの開発
Project/Area Number |
17K17520
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田中 浩二 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (40507373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 老年期うつ病 / ナラティヴ / ビリーフ / レジリエンス / 治療的ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
老年期うつ病者のナラティヴから創出する治療的ケアプログラムを開発するために、前年度に引き続き、老年期うつ病者の抑うつにつながる「ビリーフ」に焦点を当てて調査を実施した。医師から紹介を受け、同意が得られた老年期うつ病者にナラティヴインタビューを実施した。研究参加者は、19名の老年期うつ病者(男性7名、女性12名)であり、年齢は73.7±5.6歳であった。得られたデータをRiessman(2008)のナラティヴ研究法に基づいて分析した結果、12のサブテーマと4のテーマが導き出された。テーマ1【罪悪感と後悔】サブテーマ<過剰な罪悪感><未解決の課題への後悔><積み上げてきた功績の否定>、テーマ2【悲観】サブテーマ<身体や認知面の不安><死にたくなる><自己への関連づけ>、テーマ3【治療は無効】サブテーマ<自己の生き方との向き合いが必要><若い人には分からない>、テーマ4【愛する人や社会から必要とされる人でいたい】サブテーマ<家族に尽くしたい><いい人でいたい><がんばりすぎる><働いていたい>。老年期うつ病者の抑うつにつながるビリーフは、一般的なうつ病者のビリーフと違い、人生の統合という老年期の発達課題を反映したものであること、老年期の喪失体験を基盤としていることなどが特徴であった。また高齢者にとって、愛する人や社会から必要とされることは、Well beingのために重要なことであり、老年期うつ病者はこのような人や社会とのつながりのなかで回復するが、このビリーフが強すぎたり、老いに伴う喪失体験によって従来のような役割を担うことが困難になったりする状況では、葛藤や悲哀が大きくなることが考えられた。老年期うつ病者が社会の中で人間としての尊厳が満たされ、自己の生き方の肯定ができるような環境を創造していくことの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加者の確保とデータ分析のプロセスで時間を要したため、治療的ケアプログラムの作成まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
・今回明らかにした老年期うつ病者の抑うつにつながる「ビリーフ」について、学会発表ならびに論文投稿を行う。 ・老年期うつ病者の抑うつにつながる「ビリーフ」と、前回の研究課題であった「老年期うつ病者のレジリエンス」の知見を統合し、老年期うつ病者にとって有効な治療的ケアプログラムを作成する。 ・作成した治療的ケアプログラムをもとに、老年期うつ病者に介入を行い、効果を検証する。
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Causes of Carryover |
研究参加者の確保とデータ分析に時間を要し、年度内に学会発表ならびに論文作成ができなかったため。次年度は、学会発表の旅費及び論文翻訳料に使用予定である。
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Research Products
(2 results)