2019 Fiscal Year Research-status Report
老年期うつ病者のナラティヴから創出する治療的ケアプログラムの開発
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17K17520
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田中 浩二 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (40507373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 老年期うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、老年期うつ病者のレジリエンスの向上と抑うつにつながるビリーフの緩和という視点から、老年期うつ病者に対する治療的ケアプログラムを開発することである。 2019年度は、老年期うつ病者のナラティヴの特徴を整理した。老年期うつ病者のナラティヴからは、ライフヒストリーの中での後悔や罪悪感、身体症状の不安や苦悩、老いや抑うつによってこれまで大切にしてきた役割を担うことが困難になってきたことへの悲しみなどネガティヴな体験の一方、老年期にうつ病を経験したからこそ得られた人生観や洞察の深まりなどポジティヴな体験も見出された。これらのナラティヴをもとに治療的ケアプログラムを開発するための基礎資料として、老年期うつ病の病態や治療・ケアに関する文献検討を行った。その結果、①焦燥感や心気傾向、罪業感などの症状に対しては、その感情を受け止めながら現実生活上の問題が解決できるよう支援すること、②老年期特有の喪失体験に対しては、喪失の悲嘆を緩和しながら自尊心やつながりの感覚を保つことができるよう支援すること、③抑うつにつながるビリーフや過去への後悔に対しては、ライフヒストリーを尊重しながら傾聴する中でそれらの苦悩が緩和するよう支援することが方向性として考えられた。 以上の3つの視点から治療的ケアプログラムの内容を洗練化するために、国内外の専門学会への参加や高齢者のうつ病治療ガイドラインなどを通して情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度には治療的プログラムを作成し、その効果について実践研究によって検証する予定であったが、プログラムの検討・作成に時間を要しており、実践研究に着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
老年期うつ病の病態や治療・ケアに関する文献検討と情報収集を継続し、治療的ケアプログラムを完成させる。その治療的ケアプログラムをもとに、実践研究を行い、有効性について評価する。
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Causes of Carryover |
治療的ケアプログラムを活用した実践研究が着手できていないため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、データ整理のための人件費や学会発表旅費等に使用する予定である。
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