2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of environmental contamination by Helicobacter spp. and it's infection routes to humans in Nara prefecture.
Project/Area Number |
17K17546
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
堀内 沙央里 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40794334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Helicobacter pylori / 感染経路 / PCR / LAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
H. pyloriの感染経路の解明については、研究参加者への説明を実施して198名に研究キットを配付後、便検体の採取と日常生活に関する質問紙調査を行った。検体については90名からの回収が可能であった(回収率45.5%)。便検体からのH. pyloriの検出にはPCR法を用い、H. pyloriが持つcagA遺伝子もしくはglmM遺伝子の増幅産物についてDNAシークエンシングによって解析した。遺伝子解析の結果、90検体中18検体(20%)からH. pylori遺伝子(cagAもしくはglmM)が検出され、なかには再感染の疑いのある対象者も含まれていた。質問紙の分析からは感染経路源と考えられるものに共通性は認められなかったが、動物(主にイヌ)や生活用水等の環境からH. pylori遺伝子の検出を試みる必要性が示唆された。 H. pylori検出のための遺伝子検査法;Loop-mediated Isothermal Amplification (LAMP)法の開発については、H. pylori cagA遺伝子をターゲットとしたLAMPプライマーセットを開発した。プライマーセットの作成にはGenbankに登録されている標準株を含むH. pylori 6株を用い、cagA遺伝子配列の相同性の高い領域を選出した。開発したLAMP法に対して標準株をはじめとするH. pylori株を用いて検出感度と検出時間を従来のPCR法と比較し、特異度についても検討した。さらに本菌を添加したヒトの便検体を用いてLAMP法の性能を確認した。本法のH. pylori cagA遺伝子の検出感度(10-1 cfu/tube)はPCR法より10倍高く、最速16分で検出可能で迅速性(PCR法では約140分)と特異性も確認できた。さらに、便検体中でも高感度(10-1 cfu/tube)と迅速性(最速20分)を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、H. pyloriの環境中からの検出のための準備やその予備検討と解析に時間を要しているものの、今後これらのサンプリングや解析は進んで行くものと考えられる。 また、H. pyloriの検出のためのLAMP法の開発については、現在成果を論文にまとめ、投稿中である。今回開発したLAMP法は、本研究におけるH. pyloriの検出だけでなく、臨床現場にも応用可能なものであり、大変意義のあるものだと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトからの便検体の収集および解析は終了しているため、今後は同対象市町村において前述した生活環境からの検体を採取し、H. pylori遺伝子の検出を試みる。H. pylori遺伝子が検出された場合は、ゲノム解析を実施し、感染経路について解析を進めて行く。
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Causes of Carryover |
今年度は、物品費、旅費、そして人件費について、次年度使用額が生じた。次年度は、更に研究が進む予定であるため、その研究と予備検討を含む準備に要する物品費や旅費において支出が生じる予定である。
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Research Products
(1 results)