2017 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における小規模市町村保健師育成の新たな現任教育モデルの開発と検証
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17K17548
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 りほ 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40760286)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 市町村 / 都道府県 / 保健師 / 現任教育 / 小規模 |
Outline of Annual Research Achievements |
小規模市町村保健師の現任教育モデルの構築することを目的に、平成29年度は文献検討とヒヤリング調査を実施した。 ①小規模市町村保健師の現任教育についてのガイドラインを調べたが、小規模市町村独自のものは確認できなかった。市町村を後方支援する役割である都道府県の保健師現任教育ガイドラインは、平成29年8月現在ホームページ上15つ確認できた。1箇所の都道府県だけが、「市町村で指導保健師の確保が困難な場合には、(都道府県の)保健所が支援すること」と明記していた。一方、市町村側は「数年に1人採用される保健師の人材育成プログラムを市町村独自で作成するのは困難だから都道府県に期待している」と要望していた。医学中央雑誌で、小規模市町村の保健師の現任教育について文献検索を行ったが、市町村、都道府県いずれの立場からも情報は得られなかった。以上より、小規模市町村保健師の現任教育に対する標準プログラムの必要性が示唆された。 ②ガイドラインでの情報収集を受けて、都道府県保健師にヒヤリング調査を実施した。小規模市町村への支援の必要性を感じながらも十分に行えていないこと、市町村支援を行う際の必要条件として大学機関等の教育支援があがった。 ③海外の保健師の現任教育を検討するために、活動内容を調べた。日本のように保健師が国家資格であると報告されているのはアイルランド、英国、南アフリカだけである。本検討では、保健師(Public Health Nurse)という名称や国家資格であることに限定せず、「地域で活動している看護職」としてアメリカ、カナダ、デンマーク、ノルウェイ、フィンランド、オランダ、タイ、香港、韓国等も含めて検討した。その結果、日本の保健師のように、個人・家族・地域を対象にして多岐にわたった活動をしていた国は見当たらなかったことから、我が国独自の教育プログラムが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の所属異動に伴う勤務地の長距離異動のため、インタビュー対象施設との関係づくりに時間を費やした。ただし、その前段階として、複数のヒヤリング調査を実施できた。その結果、今後実施するインタビュー調査の対象として、当初計画していた小規模市町村に加え、比較するために一般市、後方支援する役割である都道府県保健師にもインタビューする必要性が明らかになった。平成30年度に実施予定のインタビュー調査の計画は具体的に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
① 小規模市町村保健師10名にインタビュー調査行う。②① の比較として、一般市の保健師10 名にインタビュー調査を行う。③ 市町村の後方支援の役割を持つ都道府県保健師10名にインタビュー調査を行う。 ①~③により、小規模市町村保健師の現任教育の現状、課題、ニーズ、改善への取り組みを明確にする。対象自治体は、平成29年度にガイドラインの情報収集のできた都道府県15箇所のうち調査協力を得た都道府県、同一都道府県内の小規模市町村、一般市とする。 ④上記で明らかになった現任教育の実態(現状、課題、ニーズ、改善への取り組み)について把握するために質問紙調査を行う。人口規模の異なる自治体と比較するためにも、小規模市町村、一般市のいずれも含める。 ⑤平成31年度以降は、本研究の目的である小規模市町村保健師に対する現任教育モデルの構築、効果の検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究者の異動により当初予定していたインタビュー調査をできなかった。 当初予定していたインタビュー調査をできなかったため、29年度の研究費に未使用額が生じたが、30年度行う予定の研究計画と併せて実施する。
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