2017 Fiscal Year Research-status Report
市町村保健師の健康職場の解明-社会とのつながりを感じる取組みの視点から-
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17K17549
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
齋藤 尚子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90621730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 市町村保健師 / 健康職場 / 社会とのつながり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、“労働者が健康に働く組織は、組織の生産性・業績が高い”とされる「健康職場」の考え方を基に、市町村保健師の「健康」と組織の「生産性・業績」の双方に関連する要素を解明することである。特に本研究では、先行研究より市町村保健師の「健康」や「生産性・業績」に関連していた「自分の仕事が社会的に意義がある(以下、「社会とのつながり」)」と感じられることに着目し、「社会とのつながり」を感じられる職場での取組みを検討し、その実施状況と「健康」「生産性・業績」との関連を検証し、市町村保健師の「健康職場」の要素を明らかにする。 平成29年度は、質問紙案の完成を目標に、1)「社会とのつながり」を感じるための職場での取組みの検討、2)「健康」「生産性・業績」の測定方法の検討を行った。 1)では、研究者が以前に行った市町村保健師への調査データ(「社会とのつながり」を感じる状況について自由記載形式で質問)を分類整理し、その中から職場として実施できる可能性がある取組みを検討した。市町村保健師が「社会とのつながり」を感じる状況は、直接的な対人支援に関する記述が大半を占め、直接的な対人支援に従事できる時間の確保が重要となる。その他のものとして、「上司からのフィードバック」や医療費や住民アンケート等の「データからの評価」、日々の住民の困りごと等を反映させた「事業化の経験」「多職種との連携の場」等があった。 2)では、今年度は特に「生産性・業績」の測定方法の検討を行った。公務員である市町村保健師には「生産性・業績」に該当する概念がないため、保健師活動の質が向上することを「生産性・業績」と捉え、「保健師」「質」「評価」等のキーワードを用いて文献検索を行った。個々の保健事業についての効果を検証したものは多いものの、保健師活動全般についての評価指標は少なく、評価方法は確立されていない現状にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者の職場異動や他研究や他業務の負担が予定以上に増加したことにより十分に研究時間を確保できず、物品調達の不足や研究協力依頼も困難であった。このため、当初の計画である質問紙案の完成まで至らず、測定方法の検討に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は市町村保健師が「社会とのつながり」を感じる職場での取組みに焦点を当てたものであるが、前述のとおり市町村保健師が「社会とのつながり」を感じる状況の大半が「直接的な対人支援」に関するものであった。職場としてこれを可能にすることは容易ではないと思われるが、市町村保健師へもヒアリングを行い、実施可能な取組みを検討していく。 また、「生産性・業績」の測定指標については、数は少ないものの保健師活動全般についての尺度もあることから、それらについての使用も検討していく。 30年度前半に質問紙の完成を目指し、倫理審査を受けた後、質問紙調査の実施を目指したい。なお、研究計画が遅れていることから、研究期間の延長も視野に入れ、進めていきたい。
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Causes of Carryover |
物品を購入する予定であったが研究機関の異動や研究計画の遅延等により購入の調整が上手くいかず、購入に至らなかった。学会等への参加も十分にできず、旅費の使用も少なくなっている。次年度は調査を開始する予定であり、早々に必要となるパソコン等の物品を購入し、進めていく予定である。
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