2021 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者の健康寿命延伸に資する腎機能保持を考慮した栄養摂取量の検討
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17K17553
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
関口 敏彰 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10739626)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢CKD患者 / たんぱく質摂取 / 腎機能 / 栄養疫学 / 健康寿命延伸 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究を通してこれまで収集した情報の一部を用いて論文を執筆し、Geriatrics & Gerontology Internationalに投稿し、アクセプトされた。用いたデータとして、アウトカムは3年間の追跡調査から得られた腎機能(クレアチニンによるeGFR)の変化量、曝露因子はベースライン調査時のたんぱく質摂取量とした。その結果、2245名の研究参加者のうち1160名が解析対象(追跡率:51.7%、平均追跡期間:2.53年)となり、この対象者について多重線形回帰分析を行ったところ、統計的有意な結果は得られなかった。しかし、サブグループ解析を行ったところ、腎機能がCKDステージG3およびG4に該当する対象者においては、たんぱく質および動物性たんぱく質の摂取量とeGFR変化量に統計的有意な正の関連がみられた。つまり、たんぱく質や動物性たんぱく質を多く摂取していた人ほど、統計的有意に腎機能を維持できていたという結果が得られた。この研究結果は、これまで一般的に指導されていた高齢CKD患者に対してもたんぱく質摂取制限を行なっていた現状を見直すことに資するエビデンスとなる点で大変意義があると考える。なぜこのような結果が得られたのか考察したところ、高齢CKD患者がフレイルやサルコペニアを併発すると総死亡や末期腎不全を起こしやすくなることを報告した論文があった。たんぱく質や動物性たんぱく質の摂取がフレイル・サルコペニアを予防する研究も複数あるため、たんぱく質摂取が虚弱を防ぎ、その結果腎機能の維持につながったものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の一部のデータを用いた論文執筆に取り組むことはできたが、まだ本研究の主要な曝露因子となるシスタチンCによる腎機能を用いた解析ができていない。早急にデータの収集を進め、解析できるように努める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要な曝露因子となるシスタチンCによる腎機能を用いた解析を進められるよう、職務内容の効率化等に取り組み成果を発表できるよう努める。
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Causes of Carryover |
シスタチンCの血液検体を得る研究調査が、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために中止となったため、当該年度中に研究を終了することができず、次年度使用額を生じることとなった。 次年度は研究調査を可能な限り進め、シスタチンCの測定結果を得るために研究費を使用する予定である。また、論文執筆に関する支出も予定している。
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Research Products
(2 results)