2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis for new elimination mechanism against virus-induced cancer cells through the cell competition with normal cells.
Project/Area Number |
17K17558
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大庭 賢二 自治医科大学, 医学部, 講師 (20759576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウイルス / ヒトパピローマウイルス(HPV) / がん / 細胞間相互作用 / 細胞競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づいて研究実施を試み、以下に示す進捗と結果が得られた。 細胞競合条件下でテトラサイクリンで発現が誘導できるHPV遺伝子発現細胞と正常細胞による反応を解析したところ、正常細胞がHPV遺伝子発現細胞の出現を認識し、細胞非自律的にHPV遺伝子発現細胞に細胞死を誘導して排除していることを確認した。この排除機構は主にHPVのE6遺伝子発現による変化を正常細胞が認識することによって誘導されていることがわかった。細胞競合条件下でE6発現細胞の排除を経時的に共焦点顕微鏡を用いたライブイメージングで解析したところ、E6遺伝子の発現誘導刺激から約9時間後程度から排除が開始されることが確認された。また誘導された細胞死はCaspase陽性であったことから、アポトーシスが誘導されていることがわかった。 この排除機構の詳細な分子機構の解析を行うために次世代シークエンス解析を行ったところ、E6発現細胞に対する細胞競合による排除機構は正常細胞が異常細胞を認識したことに端を発した、古典的な免疫反応に関わる分子機構が関与している可能性が示唆された。実際に古典的な免疫反応特異的に変化する遺伝子のプロモーターの活性を確認すると、 細胞競合条件下特異的にE6発現細胞内のみで活性化されていた。このことから、本研究で明らかとなった正常上皮細胞による細胞非自律的なHPV遺伝子発現細胞の排除機構は、感染超初期に細胞の社会性を通した新たな生体防御機構として存在している可能性を示しており、様々なウイルス感染の超初期に同様のことが起きている可能性を示唆している。 また、この排除機構を促進する可能性がある物質を添加したところ、HPV発現細胞の排除が亢進した。以上のことから、本研究に基づいた解析が今後に進むことで、新たながん・ウイルス感染の予防・治療法が確立していくことが期待される。
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