2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織の光受容体Opsin3によるエネルギー代謝機構および脂肪・骨連関の解明
Project/Area Number |
17K17564
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 真理 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (40546488)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光受容体 / 褐色脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脂肪組織に高発現する光受容体Opsin3(OPN3)に着目し、骨と脂肪の神経を介した連携機構を解明することを目的としている。 in vivo実験は、Joslin糖尿病研究所に隣接する建物の工事に伴う騒音のためマウス飼育環境が悪化し現在解析を停止している。OPN3 KOマウスは野生型にくらべて体重増加傾向が高く、寒冷暴露下での体温維持能力が低下していることは明らかにしているが、CLAMSによる呼吸商・熱産生量およびDEXAによる骨密度測定は未測定である。また、白色皮下脂肪または褐色脂肪組織部分にLEDライトを取り付け、脂肪組織を光照射しながら野生型およびOPN3ノックアウトマウスを3日間飼育し、まずは褐色脂肪マーカーの発現変化を検討したが変化は見られなかった。今後はLEDライトの照射時間をより長くできるよう実験方法をを改良していく。 in vitro実験においては、光暴露によるミトコンドリア活性の変化を調べるためにミトコンドリアの膜染色およびミトコンドリアDNAコピー数の測定を行った結果、光照射は両者に影響を与えなかった。今後はcytochrome cの測定を行う。Western BlottingによるGlutの測定では、OPN3 KO褐色脂肪細胞においてGlut1の発現が低下していること、光刺激によりGlut1の発現が増加することが分かった。また、OPN3への光刺激はGタンパク質を介してcAMPに影響を与えることが分かっているため、ELISAによる細胞内cAMPの測定を行った。その結果、OPN3 KO褐色脂肪細胞ではアドレナリン刺激下でのcAMPの上昇が抑制されており、これまで報告されているようにGi signalingを介したシグナル経路によってOPN3を介した光照射が褐色脂肪の機能に影響を与えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivo実験:飼育環境の問題によりマウスの代謝測定実験は停止しているが、その間に脂肪組織特異的にOPN3をノックアウトするべくOPN3 flox/floxマウスとAdiponectin creを交配したマウスを作成中である。LEDライトをマウスにとり付ける実験では、装置の改良のためのヒントが得られた。 in vitro実験:ミトコンドリア活性測定実験が60%程度終了した。また、Glutタンパクの発現変化を調べる実験ならびにcAMPの活性測定実験も終了した。 これらの実験進捗状況から、in vivo実験に関しては来年度以降の実験に向けての準備が予定以上にできた。in vitro実験においては予定の70%程度の実験がほぼ終了していることからおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス飼育環境の悪化により代謝測定実験を停止しているが、その間に脂肪組織特異的にOPN3をノックアウトするべくOPN3 flox/floxマウスとAdiponectin creを交配したマウスを作成中であった。飼育環境が改善したら、これらのマウスも含めて代謝測定実験を行う。LEDライトをマウスにとり付ける実験では、装置の改良に加え、より効率よく褐色脂肪のOPN3を刺激できる光波長を同定も重要である。また、これはin vitro実験で、より効率的な波長の光で細胞を光照射する際にも重要である。そのため、ヒドロアミンブリーチ法によるOPN3の吸光度測定実験を行う。その他のin vitro実験は、ミトコンドリアの活性がOPN3 KOまたは光照射によって変化するか否かを調べるためにcytochrome cの測定を行う。また、光刺激がOpsin3/cAMP/PKAシグナルを介しているかを調べるためにPKAシグナル分子の変化を(p38、pCREBなど)をWestern Blottingにて調べる。さらに、細胞への光刺激が神経刺激となりうるかどうかを調べるために、光暴露した細胞の細胞内カルシウム濃度をFura-2AMによる蛍光測定により確かめる。
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