2019 Fiscal Year Annual Research Report
Role of tumor suppressor protein p53-inducible phosphatase PPM1D on neutrophil differentiation
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17K17565
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌田 瑠泉 北海道大学, 理学研究院, 助教 (40750881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞分化 / ホスファターゼ / 阻害剤 / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌抑制タンパク質p53誘導性Ser/ThrホスファターゼPPM1Dは、種々の悪性腫瘍において過剰発現や遺伝子変異が報告されている。Ppm1dノックアウトマウスが好中球数増大・免疫不全の表現系を示すことから、PPM1Dが免疫系細胞の分化や免疫応答において重要な機能を有していることが示唆されているが、その分子制御機構は不明である。本研究では、『PPM1Dの好中球分化および免疫応答における新規機能を解明すること』を目的としている。今年度は、PPM1Dが好中球の主要な機能である貪食能や、炎症応答経路に関わる遺伝子発現を制御しており、好中球の分化および分化後の機能制御に関与していることを見出している。 PPM1DスプライスバリアントPPM1D605, PPM1D430の好中球分化における機能を解析するため、各スプライスバリアントを過剰発現させた細胞株を作製し、好中球分化および機能解析を実施した。その結果、PPM1D605およびPPM1D430の過剰発現によって、抗菌ペプチドの発現量が著しく増加することが示された。また、PPM1D605は貪食促進的受容体FCGR1のmRNAの発現量を大幅に増加させ、貪食抑制的受容体FCGR2BのmRNAの発現量もわずかに増加させた。一方で、PPM1D430はFCGR1およびFCGR2BのmRNAの発現量を低下させた。転写レベルにおいて貪食能にバリアント間で異なる変化を引き起こしたが、PPM1Dは貪食能を促進させることが示唆された。 本研究により、好中球分化および機能制御機構の破綻により引き起こされる様々な疾患の原因解明・新規治療法開発への展開が期待される。
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Research Products
(12 results)