2017 Fiscal Year Research-status Report
時計遺伝子発現に基づく乳癌の浸潤性増殖機構とその制御
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17K17575
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
呉 雲燕 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40636586)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 乳癌 / 癌微小環境 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、癌細胞増殖・癌細胞と間質の相互作用・腫瘍脈管新生機序における時計遺伝子の役割を解析し、癌の浸潤性増殖機構の解明を目的とする。また、時計遺伝子の発現異常が癌発症に関与していることが注目されており、この考えに基づき、癌の悪性形質を制御する時計遺伝子の制御機構を解明し、その特異的阻害剤を作製することを目標とする。 (1)ヒト癌細胞で、時計遺伝子発現制御を行い、脈管新生関連因子の発現変動、細胞増殖能、浸潤能への影響を検討することによって、時計遺伝子と脈管新生因子との関連を解明した。ヒト癌細胞において、DEC1過剰発現では、リンパ管新生関連因子であるPodoplaninの発現を促進した。一方、DEC2過剰発現では、Podoplaninの発現を抑制することが判明した。 (2)時計遺伝子による癌微小環境指標のひとつである上皮-間葉移行(Epithelial-mesenchymal transition, EMT)への作用機構を明らかにすることができた。DEC1は、E-cadherinの発現を抑制することによって、低酸素による誘導されたEMTを促進することを証明した。 (3)外科切除術で得られたヒト乳癌組織材料のH&E(hematoxylin and eosin)標本を用いて、術前化学療法後の原発巣における腫瘍残存パターンとリンパ節転移との関係を解析した。原発巣における残存した癌細胞の細胞密度(cell density)を評価したところ、細胞密度の高い群は、細胞密度の低い群と比較して、化学療法後もリンパ節転移が残存している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト癌細胞において、時計遺伝子DECによるリンパ管関連因子であるPodoplaninへの制御機構を解析することができ、さらに上皮-間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition, EMT)との関係を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ管・血管を有する三次元培養モデルを用いて、癌微小環境内における腫瘍細胞巣およびリンパ管・血管侵襲の形成機序を形態学的・分子生物学的に解析する。 (1)ヒト線維芽細胞およびリンパ管内皮細胞、または血管内皮細胞を積層して、三次元組織モデルを作製する。この三次元組織モデルに正常乳癌細胞、DEC過剰発現またはDECノックダンした乳癌細胞を添加し、経時的に癌細胞の間質浸潤を観察することで、時計遺伝子DECによる癌細胞浸潤能への影響を解析する。
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Research Products
(8 results)