2017 Fiscal Year Research-status Report
保育学生対象のティーチャートレーニングが幼児に対する認知・行動に及ぼす影響
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17K17577
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
松田 侑子 弘前大学, 教育学部, 講師 (10598717)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ティーチャートレーニング / 保育学生 / 効果測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,保育者志望の学生を対象とした入職前トレーニングとして,Teacher Training(以下, TT)に基づいた心理教育的プログラムを実施し,対応の難しい幼児に対する捉え方の変容や,関わり方の多様化に焦点をあて,入職前~入職後に至る影響を縦断的に明らかにすることを主たる目的とした。 今年度は,TTを実施し,その短期的効果を検討した。TTは全5回から構成され,学習理論に基づいた行動変容に関する基本的な考え方,ポジティブな注目,注目の除去,指示に関するスキルの習得を目指した。具体的には,実習を控えた2017年12月―1月にかけてTTプログラムを実施し、その事前(Time1),事後(Time2)の2時点において質問紙調査を実施した。調査対象者は,中国地方にある私立の四年制大学1校に在籍する大学生52名である(男性2名,女性50名)。学年の内訳は,2年生26名,3年生26名である(平均年齢19.92歳±1.55)。各学年ごとにランダムに介入群とウェイティングリスト群に割付した。調査内容は,保育スキル,行動変容に関する知識・理解の程度,保育者効力感,保育者志望度である。 Time1からTime2にかけて,各変数の変化量を算出し,群間比較を行ったところ,不適切な行動の無視,つまり注目の除去スキルにおいて理解・習得されていることがわかった。また,介入群において,行動変容に関する知識も増大していることが示された。従って,今回用いたTTプログラムは,スキルや行動変容の仕組みを理解するという点で短期的な効果を持っているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を行っている大学の実習スケジュールに左右されるため,当初の計画を若干修正しているものの,研究を進める上で大きな支障をもたらすような変更はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,前期のうちにウェイティングリスト群への介入実施を予定している。平成29年度に蓄積したデータと総合し,縦断的な効果を検討することを目指している。これと並行して,量的な効果指標だけではなく質的な側面から変容を捉える面接調査を行うため,データ処理の補助を有効に活用していく必要がある。 平成29年度はデータ収集のタイミングが合わなかったため,学会発表の機会がなかった。しかし,平成30年度には,平成29年度内に収集したデータを分析し発表を行うこととし,学会等で助言をもらいながら,介入プログラムの更なる洗練を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,当初計画していた国際学会での発表ができなかったことと,平成29年度はデータの収集がメインであったため,統計ソフトや分析用のパソコンを購入する必要性がなかったことが挙げられる。しかし,平成30年度においては,分析・成果報告等を行うため,そこで使用していく予定であり,また国際学会でのエントリーもすでに行っている。
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