2017 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群における、症状出現トリガーと口腔ー腸内細菌叢ネットワークの解明
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17K17584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 由佳里 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50721453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 過敏性腸症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
・下痢型 IBS に対する、IBS 腹部症状に関連する便細菌叢の解析 IBS 患者と健常者において、消化管環境に異常が生じる 機序を主に細菌叢を調べることにより解析した。更にIBS患者は漢方薬(オープンラベル)を28日間内服することで、症状改善に関連する細菌叢・代謝物を調べた。健常者 40 名、下痢型 IBS 患者43 名 (全員男性)について、採血にて高脂血症、その他の肝臓、腎臓機能、貧血などの異常がないこと、更に消化器内科と漢方内科による診察を行い、消化管細菌叢を採取した。平成29年度はbaselineのプロトコルを完了した。IBS被験者については特に内服後、副作用などは認めていない。 得られた消化管細菌サンプルから16Sリボソーム DNA を抽出し、細菌・菌類に特異的なプライマーを用いて精製した PCR 産物をIllumina Miseq を用いて配列決定を行った。得られた配列を用いて、細菌叢を検討したところ、IBS患者群において、便中の細菌種多様性は健常者に比べて有意差を認めなかった。尚、phylumレベルの解析で有意差を認める菌A,Bをを得られた。またFirmicutes/Bacteroides比について、IBSの症状時、症状非出現時において有意差を認めた。これらは既報の結果をサポートする結果であり、更に現在、薬剤介入試験並びに、IBS同一被験者間の菌叢変化などを含めて、16SリボソームDNAとその代謝産物、転写活性などを用いた詳細解析について継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者の研究参加時期などの調整は必要であるが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Baselineの細菌叢解析で疾患群に特異的に見られた細菌について、消化管粘膜上のさらなる検証が必要な可能性が出てきた。今後得られた消化管細菌叢の16Sリボソーム解析、代謝物詳細解析を予定通り進め、結果次第では、疾患群に対して、大腸内視鏡検査、粘膜生検を行う可能性もありうる。
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Causes of Carryover |
細菌叢のシークエンスについて、当初の予定では介入試験の検体についても解析を行う予定であったが、シークエンス効率とコストの関係から、次年度に行なう予定である。
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Research Products
(3 results)