2019 Fiscal Year Research-status Report
Omics Profiles of Fecal Microbiota Change in Irritable Bowel Syndrome Patients with Diarrhea and Symptom Exacerbation
Project/Area Number |
17K17584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 由佳里 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50721453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 腸内細菌叢 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者 40 名、下痢型過敏性腸症候群(IBS) 患者43 名 (全員男性)について、通常排便時並びに、IBS群では更に腹部症状出現時に収集した糞便について、16SリボソームDNAよりIllumina Miseq を用いた配列決定データに加えて、糞便についてCE-TOFMSを用いてメタボローム解析を行ったデータを元に、関連解析を行った。
糞便検体ではPrincipal Coordinate Analysis (PCA)解析や、a多様性解析では健常群、及びIBS群内の通常排便時と症状出現時では有意差を認めなかったものの、便中代謝物質のメタボローム解析から、IBS群の症状出現時は、健常者およびIBS群通常排便時と比較して便中代謝物質プロファイルが異なることが明らかとなった。IBS群内では、通常排便時と比較して下痢症状時では、コハク酸や乳酸などが増加傾向、およびプロピオン酸や酪酸が減少傾向であることが明らかとなった。更にIBSはストレスが密接に関連することから、脳腸相関が病態生理に密接に関わることが言われている。よって、トリプトファンーセロトニン代謝系、グルタミンーグルタミン酸ーGABAといった神経伝達物質に関連する物質について解析をおこなったところ、IBS症状出現時は、特にトリプトファンやセロトニンが減少し、その下流のメラトニンが増加していた。またグルタミン酸には、健常者、IBS症状出現有無により有意に変化していることを認めた。以上より、当初の仮説通り、IBSの腹部症状出現時によって腸内細菌叢構成並びに神経伝達物質代謝も変化している可能性を捉えた。更に、細菌叢は健常者群とIBS通常排便時は大きく変わらないものの、メタボロームデータで異なる箇所が診られたことから、症状のトリガーに関わる可能性もあり、今後更に追求していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、メタゲノム並びに、メタボロームデータの安定した取得と横断的データ解析に苦慮したが、充分なデータが得られ、解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、得られた糞便と口腔内検体(歯垢と唾液)の細菌叢の情報、メタボローム情報、更に本研究を元に採択頂いた先進ゲノム採択案件で解析中の糞便中メタトランスクリプトーム解析データを比較して、部位間関連について検索を行う。これらを元に、IBSの消化管細菌間、並びに宿主と細菌叢間の情報授受、そして消化管関空内環境変化について更なる解明を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は得られたデータ解析が中心となったことから、当初の予定と異なる使用額となった。しかし研究遂行について当初の予定と大きなかわりはなく進行中である。
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Research Products
(6 results)