2017 Fiscal Year Research-status Report
トランスプロフェッショナル教育モデルを用いた卒前医学教育プログラム開発とその検証
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17K17586
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 淳一 東北大学, 大学病院, 助教 (80643329)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域医療 / トランスプロフェッショナル / 卒前医学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本教育プログラムは、医学生への地域協働にかかる知識・スキルを学ぶ月1回の講義と年4回の合宿形式の地域の医療問題探索・解決を含む1年間のフィールドワークを構成する予定であったが、科研費期間終了後の持続性を考える必要が専門家より指摘された。特にフィールドワークに関しては参加者・教育者ならびに協力する地域の関係者の負担を考える必要があり、専門家、地域の行政担当者と相談の上、内容を練り直すことにした。また来年度から、半年の全学部対象のゼミを担当することになり、最初のトライアルとして教育プログラムを組むことにした。このプログラムに関して教育専門家よりアドバイスを受け、設定を行った。 教育プログラムの評価に関して、文献的調査や専門家の意見交換を行い、申請段階で検討していたKiSS-18、RIPLS(Readiness for Interprofessional Learning Scale)、European Health Literacy Survey Questionnaire日本語版などの評価の他に、教育プログラムの評価として、個人の変化だけでなく、実施する地域での変化も合わせて必要と認識し、評価項目を追加した。 参加者の募集は、他の勉強会企画を通じて、本学ならびに近隣大学の地域医療に興味のある学生と面識を得ることができ、本企画への参加に関して非常に関心を持っている。来年度以降の参加者募集に関しても協力意向を示すものもおり、教育プログラムの評価がより深化する可能性がある。また他の非医療専門職の協力に関しても実施地域の行政担当者の尽力もあり、地域で実施されている町おこし勉強会の参加者の協力も得られることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来であれば、1年目の後半から、教育プログラム開始予定であったが、2年目に繰り下げた。その理由として2年目である2018年4月から東北大学全学部1年生を対象にしたゼミ形式の授業を担当することになり、医学部を含めた他学部の学生を交えた教育活動が今回の研究目的に合致すると判断した。ただし、対象が1年生であることもあり、準備を十分にして、教育プログラムが円滑に行われた方がよいと判断し、予定を半年繰り下げ、準備期間をとって、2年目開始とした。 準備期間中に日本以外の他地域の取り組みの文献検索、また丸森町の担当者、医療専門職・非医療専門職の協力者との打ち合わせ、地域医療や医学教育を専門とする医師との意見交換を十分に行えることができた。その結果、より教育プログラムが練られたこともあり、半年の準備期間が、今回の教育研究に対して、より意義のある効果を与えたことを踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2018年度は、以下の三つに重点を置く。 1 丸森町でのフィールドワークを主体とした教育活動を複数回実施する。現在、東北大学全学部1年生の中で希望する学生に対してゼミ式の授業を行う。このゼミで医学部を含めた複数の学部の学生同士ならびにフィールドワークでは社会人である医療職・医療以外の専門職との交流による教育効果を明らかにする。また、今年は東北大学、東北医科薬科大学の地域医療に興味をもつ学生を募集し、講義・フィールドワークを行う。昨年度、興味がある学生を複数見いだすことができ、彼らの参画を得て、周辺の学生をさらに集めることが容易になる。また丸森町の非医療専門職と複数面会し、本教育プログラムの協力を得た。 2 上記の教育活動に参加した学生・ならびに協力いただいた専門職の方にインタビュー調査を行う。昨年度の当部の事業で、質的研究の専門家と面識を得ることができ、倫理申請やインタビューガイドの作成に関しても協力を得ることができた。今後も協力・指導を得ながら、効率的に実施する予定である。 3 他地域で行われている医療を超えた多職種での取り組みについての現地調査を行う。これまでの専門家のディスカッションの中で、医療職が地域を創生する取り組みに中心的に参画する取り組みが複数明らかになった。今年度は、このような取り組みによって、医療職は医療職以外から何を得ることができたか明らかにする。そのことで、現在認識していない教育効果の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度に教育プログラムの実施が行われなかったため、講師謝金やインタビュー謝金などの発生がなく、また打ち合わせ旅費などを本支出以外の学会出席や会議などで支出したため、その分、予定より出費が少額になった。 ただし、次年度から教育プログラムを開始していく中で、講師謝金やインタビュー謝金などが発生するため、次年度に持ち越し、使用する予定である。
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